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 腎臓・腎・腎臓病(一覧)
腎臓再生 初の臨床研究 患者のiPS使用、年内開始 慈恵医大など2018.1.5 
慢性腎不全の患者のiPS細胞(人工多能性幹細胞)を使って、体内で腎臓を再生し、機能を回復させる世界初の臨床研究を、東京慈恵会医大などのチームが年内にも始める。慢性腎不全は、数カ月から数十年かけて腎機能が徐々に低下し、やがて人工透析に至る病気で、世界的に患者が増えている。チームは海外での臨床研究を目指す。【渡辺諒】

ヒトでの腎再生の臨床研究を試みるのは慈恵医大や明治大、医療ベンチャー企業「バイオス」のチーム。計画…

◆URL(詳細は会員登録の上ご覧下さい): https://mainichi.jp/articles/20180105/ddm/001/040/147000c
最新治療「カーティー療法」で人類がガンを克服する日2017.12.29 
かつては不治の病といわれていたがんも、医療の発展で少しずつ治る確率が増えてきた。だが依然として、肉体的にも経済的にも負担が大きいのががん治療だ。そんな現状が、18年から大きく変わっていく。

血液1滴でがんがわかる

英キングス・カレッジ・ロンドンで腫瘍学を専門とするファージン・ファーザーネー教授は18年、ある革新的な実験を試みる予定で、世界から注目を集めている。

「いまイギリスの民間企業と合同で、『がんを殺す』細胞の培養実験を進めています。その細胞とは『ニュートロフィル細胞(好中球)』と呼ばれるもので、人間の体内に存在し、細菌感染すると真っ先に攻撃を開始する免疫機能のひとつです。

がんを克服した『がんサバイバー』の人たちは免疫力がほかの人よりも高く、その人たちからニュートロフィル細胞を抽出し、増殖させてがん患者に注入します。他の免疫細胞を使った治療と同様に、副作用が少ないのが特徴です。

マウスの実験では24時間でがん細胞の95%を壊滅させる結果が出ています。18年あたりから、5年生存率が非常に低い膵臓がんの患者に治験を行う予定です」(ファーザーネー教授)

技術革新が進んでいるのは、がん治療だけではない。できる限り早期に発見するための検査も、より効率的なものが誕生している。

「17年8月、国立がん研究センターが血液1滴から13種類のがんを診断する技術を開発し、臨床研究をはじめました。

現在も腫瘍マーカーによる血液がん検査は行われていますが、それよりも発見率が高く、ごく初期のがんも発見可能。簡単に早期発見できるようになれば、患者の負担が肉体的にも経済的にも軽くなります」(医療ジャーナリストの松井宏夫氏)

国立がん研の開発チームが注目したのは、がんが血液中に分泌する「マイクロRNA」と呼ばれる物質だ。がんは種類によって、それぞれ特有のマイクロRNAを分泌する。

そしてその量の変化で13種類のがんを95%の確率で発見できるようになった。

「将来的には分泌量の分析をAIで機械学習させれば、99%以上の精度でがんの種類を判別できるようになるでしょう。

費用は2万円程度と決して法外な金額ではないので、企業の健康診断の項目に血液がん検査が当たり前のように入る時代が来るかもしれません」(前出・松井氏)

次から次へと新しいがん治療が発表されるなかで、ここ30年、いや50年の現代医学の技術の結晶ともいうべき革命的な治療法がついに世に出た。

「17年8月、ノバルティス社が開発したがん治療薬『キムリア』がFDA(米食品医薬品局)の承認を受けました。この薬は『カーティー(CAR-T)細胞』と呼ばれるヒトの免疫細胞を使った新しいタイプの治療薬です。

体内の免疫細胞のひとつに『T細胞』があり、この細胞が活動するとがん細胞の増殖が弱まります。

このT細胞を体内から取り出し、がん細胞と結合すると活性化するように遺伝子操作を人工的に加える。するとT細胞はカーティー細胞に変化し、高い抵抗力を持った免疫細胞になります。これを薬品化したものがキムリアです」(KDDI総合研究所の小林雅一氏)

現在は若年性の白血病など血液のがんに有効な治療法として実用化されているが、18年以降、カーティー療法は前立腺がんや膀胱がんなど、ほかの種類のがんにも応用されることになる。

副作用がなくなる

自分の身体の免疫細胞が、自分にとって最良の「抗がん剤」になる 。誰にとっても有効な技術の汎用化が、目前まで迫っているのだ。

カーティー細胞は、正式名称を「キメラ抗原受容体T細胞」という。現在一般的に使われている抗がん剤は、がん細胞だけでなく正常な細胞も攻撃するため、強烈な副作用をもたらす。

だがヒトのT細胞に遺伝子操作を加えれば、がん細胞特有の性質にだけ反応し、正常な細胞には攻撃を加えないカーティー細胞へと変化を遂げる。

そのため、カーティー療法に副作用はほとんどない。患者に辛い負担を強いるがん治療が、ガラリと変わるかもしれない技術なのだ。

この遺伝子操作を可能にするのが、近ごろ耳にする機会が増えた「ゲノム編集」の技術である。

4種類の文字情報が連なってできた約30億対のDNAの列を、たとえていえばパソコンやスマホでメールを書くように、自由に書き換えることができるのがゲノム編集だ。

この分野でいまもっとも研究が進んでいるのが、「クリスパー・キャスナイン」と呼ばれる手法である。

この技術はもともと、細菌がウイルスのDNAを破壊する免疫機能に由来している。これを人間や様々な動植物のDNA配列を人工的に切断したり、あるいは改良したりできるようにしたのがクリスパー・キャスナインだ。

「ゲノム編集を用いれば、カーティー細胞のような強化された免疫細胞を作製できるだけでなく、がんに変異しそうな遺伝子の情報をあらかじめ改変しておくことで、がんを『未然に防ぐ』ことができるようになります」(前出・小林氏)

これまでの医療の常識を覆すかのように思えるカーティー細胞だが、課題点もまだまだある。というのも、T細胞を大量に複製するのが非常に難しいのが現状で、結果として治療費も高額になりがちだからだ。

実際に実用化されている血液のがんに対するカーティー療法は、患者の8-9割に効果があることがわかっているが、その医療費は一回の投与で約5000万円におよぶ。

「そこで期待されるのが、安価に増産できるiPS細胞の技術と組み合わせて、カーティー細胞を量産する技術です。

まずがん患者からT細胞を取り出して、それをiPS細胞の技術で大量に培養します。そのT細胞にゲノム編集を施し、カーティー細胞に改変して、患者の体内に戻すのです」(前出・小林氏)

日本の病院においては、自由診療というかたちでさまざまな免疫療法が実施されている。だが、そのなかには治療費が高額なうえに医学的な根拠は乏しいものもあり、患者にとっては有益な治療法ばかりではないといえるだろう。

そのなかで、FDAに認可を受けた免疫療法薬キムリアが誕生したことは大きな意味を持つ。iPS細胞をはじめとする再生医療、そしてゲノム編集のような遺伝子技術が、今後がん治療のメインストリームになっていくことを示唆しているといえるからだ。

腎臓、肝臓でも新技術

iPS細胞の応用で日本の最先端を走るのが、東京慈恵会医科大学の研究グループだ。17年11月、「iPS腎臓」の開発が最終段階に入ったと発表した。

腎臓の構造は非常に入り組んでいて、いまがんなどが原因で慢性腎不全に陥った患者は臓器移植を受けるか人工透析に通い続けるしかない状態にある。

だが今回のiPS細胞で作られた腎臓は、一番大切な尿を作る機能を有しているという。腎不全だけでなく腎臓がんにも、「iPS腎臓」の応用と実用化が期待されるところだ。

また横浜市立大学では17年12月、ヒトのiPS細胞から直径約0.1mm程度の「ミニ肝臓」を大量製造することに成功したと発表した。

サイズ的にも直接移植には使えないが、一度に数万個単位で作り出すことができ、これが複雑な肝臓の構造を理解し、生成のプロセスを解明する足掛かりになるとしている。

06年に京都大学の山中伸弥教授がiPS細胞の完成を発表してから11年が経った。いよいよ人間とがんの闘いにおいて、iPS細胞が私たちの強い味方になる日が近づいている。

これと同時に、18年は人間の遺伝子に注目した「プレシジョン・メディシン」の研究が飛躍的に進むといわれている。

医療コンサルタントの吉川佳秀氏は次のように語る。

「日本語では『精密医療』といいますが、患者の個人レベルで最適な治療法をオーダーメイド感覚で提供する医療です。

具体的には、患者の細胞を採取して遺伝子レベルで分析し、どういう遺伝子でそのがんができたのかを解明する。同じ胃がんでも、人によってその形態はまったく違いますから、効く薬も千差万別です」

新薬の開発から認可までは、これまで10年近くかかることもザラにあった。ところが近年の医療現場では、難病に強い効果を発揮する薬は、特例で1-2年で臨床試験に移ることも多くなった。

オプジーボは安くなる

日本でも、すでに厚生労働省が後押しして、全国245の医療機関と製薬会社が協力して「スクラムジャパン」を設置している。

肺がんや大腸がんなど患者数の多いものに対して、大規模なスクリーニング(ふるい分け)検査を行うことで、遺伝子異常を発見したり、新薬開発に役立てようとしている。

「海外におけるプレシジョン・メディシンでは、AIを用いて過去の論文を分析し、患者のがんがどのようなケースに当てはまるか、変異する特定の遺伝子はなにか、素早く特定するようなシステムを導入しています。

数年後は、特定のがんだけでなく一般的な治療にも『AI診断』が導入されていくことになるでしょう」(前出・松井氏)

プレシジョン・メディシンが浸透するなかで、抗がん剤ではオプジーボに代表される免疫チェックポイント阻害剤に注目が集まる。

「免疫機能を高めてがんを叩くチェックポイント阻害剤は、効く人には効くが効かない人にはほとんど効果がないという性質もあります。だからこそプレシジョン・メディシンで、自分のがんにより有効な薬を早いうちに見つけることが重要なのです。

いま認可されている免疫チェックポイント阻害剤はオプジーボ、ヤーボイ、キイトルーダの3種類ですが、18年にはさらなる認可済みの阻害剤が出てくるとみられます」(前出・吉川氏)

年間3500万円かかると試算されてから、再三薬価の見直しが続くオプジーボだが、18年はさらに安価になりそうだ。

「18年の診療報酬改定にともなって、17年2月に半額になったオプジーボの価格は6%値下げになります。さらに、既出の免疫チェックポイント阻害剤3種類で、保険適用されるがんの種類が拡大されていくと期待できる年です」(前出・松井氏)

最先端の医療でいえば、投薬だけでなく「重粒子線」による治療も効果が期待されているが、この治療法も新たなフェーズを迎えることになる。

重粒子線は従来の放射線治療よりもがん細胞をピンポイントで狙い撃ちできる。そのため身体への負担が少ないと期待されているが、現在日本でこの治療を行える施設は5ヵ所しかない。

この現状を打破するように、18年大阪国際がんセンターに隣接する場所に、重粒子線専門の巨大な拠点が完成する予定だ。民間最大級の重粒子線治療の拠点が誕生することで、より多くの人が最先端の治療を受けられる時代がやってくる。

私たちの寿命を大きく延ばしてくれるかもしれない画期的な技術。18年はその躍進の嚆矢となるだろう。

「週刊現代」2017年12月30日号より

【週刊現代】

◆詳細URL: https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20171229-00053949-gendaibiz-bus_all&p=1
<慈恵会医大など>ラットで腎臓再生 臨床応用へ前進2017.11.23 
胎児の体内で行われている臓器の発生プログラムを活用し、腎臓を再生させることにラットで初めて成功したと、東京慈恵会医大などのチームが英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに発表した。尿を生成するなど腎臓の機能を完全に備えているといい、ヒトへの臨床応用に向けて大きく前進しそうだ。

チームは、遺伝子改変したマウスの胎児を作製。胎児の腎臓の「芽」に、ラットの腎臓になる前駆細胞を注入し、同じ遺伝情報を持った別のラットに芽ごと移植した。その後、特殊な薬をラットに投与すると、芽に元々含まれていたマウスの前駆細胞が死滅。芽に周囲の組織から血管が入り込み、4週間後にはラットの細胞だけでできた腎臓が再生した。腎臓内で尿が作られることも確認した。

チームは、再生した尿管を使って尿を体外に排出させる技術をラットで開発している。さらに、ヒトiPS細胞(人工多能性幹細胞)から腎臓の前駆細胞を作製する技術も完成させている。マウスの代わりにブタ胎児の腎臓の芽を、ラットの代わりに腎不全患者のiPS細胞から作製した腎臓の前駆細胞をそれぞれ使えば、機能を全て備えたヒトの腎臓を再生させることが可能になるという。

チームの横尾隆・慈恵医大教授(腎臓・高血圧内科)は「再生した後は免疫抑制剤も要らなくなる。異種移植を利用した腎臓の再生医療実現に向け、ヒトでの研究を進めたい」と話した。【渡辺諒、荒木涼子】

◇安全性の確保と、倫理面の議論を

国内では人工透析を受ける腎臓病患者は32万人を超え、医療費も年1兆円を上回る。腎移植の希望がかなわない患者が多く、腎臓再生に期待がかかる。

一方、ヒトへの臨床応用には安全性の確保に加え、倫理面の議論も必要だ。具体的には▽動物が持つ病気がうつらないか▽動物の細胞が残らないか--など慎重な検討が欠かせない。

ヒトの臓器の再生に動物を利用することへの抵抗感も根強い。日本再生医療学会の八代嘉美幹事は「研究内容を公開し、国民との対話を深める必要がある」と指摘する。【荒木涼子】

【毎日新聞】

◆詳細URL:
ES細胞でマウス胎児の腎臓組織再現に成功 熊本大学2017.11.10 
体のさまざまな組織に変化するES細胞を使って、マウスの胎児の腎臓の組織を再現することに熊本大学の研究グループが成功したと発表し、重い腎臓病の患者に対する再生医療につながる可能性がある技術として注目されています。

熊本大学の西中村隆一教授らのグループは、マウスのES細胞から、血液をろ過して尿を作る機能をもつ「ネフロン」と呼ばれる組織の元となる細胞を作りだしていますが、今回さらに、尿を排出する管になる「尿管芽」と呼ばれる細胞を作ることに成功しました。

グループは、この2つの細胞を混ぜ、さらにマウスの胎児から取り出した細胞どうしを結びつける細胞を加えておよそ1週間培養したところ、細胞が組み合わさって直径1ミリ、厚さ数百マイクロほどの円盤状のマウスの胎児の腎臓の組織を再現することにも成功したということです。

今後、グループでは、胎児の腎臓の組織がさらに成長する過程を調べるとともに、ヒトのiPS細胞でも実験を行い、血液をろ過する機能があるか検証することにしています。

グループによりますと、重い腎臓病で人工透析の治療を受けている患者は国内に30万人余りいて、将来、こうした患者を対象にした再生医療につながる可能性がある技術として期待されています。
西中村教授は「移植のためのドナーが不足する中、ヒトの腎臓を作ることができれば、多くの患者を救える」と話しています。

【NHK NEWSweb】

◆引用URL: http://www3.nhk.or.jp/news/html/20171110/k10011218231000.html
【報ステ】Muse細胞『慢性腎臓病』に効果が2017.7.12 
ES細胞、iPS細胞に続く“第三の万能細胞”として期待され、注目が集まっている『Muse細胞』で、慢性腎臓病を治療できる可能性があるという研究成果が12日に発表された。慢性腎臓病になると、血液などの老廃物をろ過して排出することが十分にできなくなってしまう。成人の8人に1人が患う新しい国民病とも言われ、人工透析でろ過機能を補うか、腎臓を移植するしかなく、根本的な治療法は今のところない。研究チームは、慢性腎臓病になった実験用のマウスにヒトのMuse細胞を注射したところ、ろ過機能を担う複数の種類の細胞に分化し、腎臓の機能が回復したという。Muse細胞を発見した東北大学の出澤真理教授は「Muse細胞は腎臓病の根本的な治療を提供できる。負担のある人工透析や腎移植に代わる画期的な治療になれると期待している」と話す。

【テレ朝news】

◆詳細URL: https://headlines.yahoo.co.jp/videonews/ann?a=20170712-00000068-ann-soci
霊長類の臓器、ブタで作製へ iPSでキメラ研究開始2017.5.12 
ヒトに最も近い動物であるチンパンジーのiPS細胞(人工多能性幹細胞)を使ってブタの体内にチンパンジーの臓器を作る研究を、東京大の中内啓光教授や明治大の長嶋比呂志教授が11日までに始めた。臓器移植のために、ヒトの臓器を動物体内に作る場合のリスクを見定める技術につながる。日本政府はヒトと動物の細胞の合わさった動物(キメラ)の作製を禁止しているが、規制に関する議論に影響を与えそうだ。
中内教授らはこれまで、ラットの体内でマウスの膵臓(すいぞう)を作製し、移植に成功している。しかし近縁種とは違い、ヒトとブタの間には妊娠期間や着床時期など大きな違いがあり、キメラ作製はより難しい。遺伝子レベルで99%がヒトと一致し発生過程も似ているチンパンジーを使い、ヒト細胞を用いる場合に必要な知見を得る狙いがある。京都大霊長類研究所がチンパンジーの細胞を提供した。
遺伝子操作で特定の臓器を作れなくしたブタの受精卵からの発生過程でチンパンジーのiPS細胞を注入し、ブタの体内でチンパンジーの膵臓や腎臓の作製を計画する。本年度中には、技術確立に向け一定のめどをつけたいという。
ヒトと動物のキメラ作製は国内では禁止されるが、海外では規制の緩やかな国が多く、中内教授も米スタンフォード大でヒトとヒツジを合わせたキメラを作る研究を続ける。
ヒト細胞を使ったキメラを作る是非については、動物の脳にヒト細胞が混じる懸念などが論点となっている。長嶋教授は「実験を通して霊長類の細胞がブタの脳にどのような影響を与えるか確かめられる」と期待する。

【京都新聞】

◆詳細URL: http://www.kyoto-np.co.jp/environment/article/20170512000018
大塚と理研、神戸に連携センター 疾病解明・再生医療推進へ2016.9.1 
大塚製薬と理化学研究所は1日、理研の多細胞システム形成研究センター(理研CDB)内に「理研CDB-大塚製薬連携センター」を開設した。理研が「産業界との連携センター制度」を活用して製薬企業と連携するのは初めて。再生医療の推進や疾病メカニズムの解明を目指すほか、理研と民間企業という異なる文化を吸収した人材の育成を狙う。当面は神経変性疾患と腎疾患の治療を目指した研究に取り組む。研究者同士の交流を深め、具体的な共同研究課題を設定していく予定。

【日刊薬業】

◆詳細URL(有料記事): http://nk.jiho.jp/servlet/nk/kigyo/article/1226586274626.html?pageKind=outline&utm_source=dlvr.it&utm_medium=twitter
慈恵医大、ブタ使って腎臓作製 10年以内にヒトへ応用 2016.8.23 
東京慈恵会医科大学はブタを用いて新しい腎臓を作製する技術を開発した。ラットを使った実験では腎臓の作製に成功、ヒト向けに10年以内に応用する考えだ。腎臓は尿管の形状をはじめ複雑な構造を持った臓器のため、再生医療製品の開発が遅れていた。この技術を使えば、慢性腎不全などに悩む患者の負担を減らせる。

慈恵医大の横尾隆教授らが開発した。病気になったラットから腎臓のもととなる細胞を取り出し、ブタの胎児の中で…

【日本経済新聞】

◆詳細URL(有料記事): http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ23H1Z_T20C16A8MM0000/
腎臓前段階の細胞培養=「糸球体」形成 熊本大2016.4.15 
腎臓の組織になる前の「前駆細胞」を長く、多く培養することに成功したと、熊本大の西中村隆一教授らの研究チームが発表した。培養したマウスや人の前駆細胞から、腎臓の「糸球体」や「尿細管」ができた。培養方法の確立は今後、再生医療の研究に役立つと期待される。論文は14日付の米科学誌セル・リポーツ電子版に掲載された。

腎臓の前駆細胞は血液から老廃物をこし取る糸球体や、体に必要な成分を再び吸収する尿細管になる。米国の研究チームが尿細管になる前駆細胞の培養法を報告した例はあるが、糸球体と尿細管の両方になる前駆細胞の培養法は確立していなかった。

西中村教授らは、前駆細胞の維持や増殖などに作用する化合物3種類のほか、新たに1種類の化合物を低濃度で加えて培養。マウスのES細胞(胚性幹細胞)から作った前駆細胞の生存期間は生体内の約2倍の20日に延び、細胞数は100倍に増やすことができた。

人の人工多能性幹細胞(iPS細胞)から作った前駆細胞では、生存期間は2-3日から8日に、細胞数は4倍になった。

【時事通信】

◆引用URL: http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160415-00000023-jij-sctch
iPS細胞で再生医療実現へ、行程表を改訂 文科省2015.12.6 
文部科学省は4日、iPS細胞による再生医療の実現に向けた研究ロードマップ(行程表)の改訂版を発表した。心不全治療のための心筋は2年後、糖尿病治療のための膵臓(すいぞう)の細胞は4年後など、iPS細胞をもとにつくる計19の細胞や器官について、人を対象に研究で使い始める目標時期を明記した。

行程表の改訂は2013年2月以来2回目。今回は、人を対象にした臨床研究や治験をまとめて「臨床応用」と定義。研究者の見通しをもとにその開始目標を設定した。研究の進展を受け、がん治療用の免疫細胞や毛髪をつくる頭部の毛包(もうほう)、歯など新たに5細胞・器官を追加した。

iPS細胞からの網膜の細胞を目の難病患者に移植する研究が昨年始まったのに続き、早ければ来年度からパーキンソン病の治療に使う神経細胞や血小板、角膜について臨床応用を始めるとした。一方、赤血球や腎臓などは、技術的な困難さからこれまでの目標よりも数年遅くなった。臨床応用の開始まで7-10年以上かかる見込みという。

研究段階を経て実用化する時期のめどは示さなかった。研究の結果に加えて、製薬会社などの参加が不可欠になるためという。iPS細胞研究に年80億円ほどを投じている文科省は「研究の進み具合を把握しながら、再生医療研究を引き続き支援していきたい」とする。(須藤大輔)

【朝日新聞 DIGITAL】

◆詳細URL: http://www.asahi.com/articles/ASHD43SR1HD4ULBJ007.html
マウス移植で血管つながる=ヒトiPSから腎臓組織 将来臨床応用・熊大など2015.11.20 
ヒトの人工多能性幹細胞(iPS細胞)を試験管内で腎臓組織に変え、免疫不全マウスの腎臓被膜下に移植したところ、マウスの血管が入り込んでつながったと、熊本大と順天堂大、広島大の研究チームが20日、米腎臓学会誌の電子版に発表した。
腎臓には血液をろ過して尿を作る糸球体が多数あり、内部の細胞「ポドサイト」がろ過膜の役割を果たしている。今回の実験ではヒトiPS細胞から作った糸球体にマウスの血管が入り、尿ができ始めたような物質が確認されたが、尿の排出路がないため、それ以上の進展はなかった。
熊本大発生医学研究所の西中村隆一教授は「将来は試験管内でヒトiPS細胞から尿の排出路も作って組み合わせ、基本的な機能を備えた腎臓組織にしてから患者に移植したい」と話した。
移植する場合は患者自身の腎臓に追加する形になるが、大きく成長させたり、患者の太い血管をつないだりする技術も必要になるため、臨床応用には10年程度かかる見通しという。
一方、腎臓病の患者の細胞からiPS細胞を作って腎臓組織に変え、マウスに移植すれば、完全な腎臓でなくても病気の症状を再現できる可能性がある。原因の解明や新薬開発に役立つと期待される。

【時事通信】

◆引用URL: http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151120-00000091-jij-sctch

◆参考URL[熊本大学/科学技術振興機構(JST)]: http://www.jst.go.jp/pr/announce/20151120/
生体組織成長早めるシート 再生医療に、岡山大開発2015.11.14 
再生医療に用いる臓器などの生体組織を体外でつくる際、培養皿に敷いて組織の成長を大幅に早められるゲル状シートの開発に岡山大の松本卓也教授(生体材料学)らのチームが成功した。成果は英科学誌電子版に掲載された。

iPS細胞からさまざまな組織や細胞をつくり、損傷部位や患部に移植して修復、治療するなどの再生医療に注目が集まるなか、生体組織の作製時間短縮につながると期待される。

チームは肺や腎臓などの組織が形成される過程で、細胞が育ちやすい環境をつくったり、細胞同士を接着させたりするタンパク質「フィブロネクチン」に着目した。このタンパク質で最も重要な役割を持つ成分を表面に並べたゲル状のシートを開発した。

マウスから取り出した唾液腺組織をこのシートで培養すると、成分を含まないシートで培養した場合より約6倍早く成長した。肺や膵臓(すいぞう)の組織でも同様の効果があった。〔共同〕

【日本経済新聞】

◆引用URL: http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG14H47_U5A111C1000000/
再生腎臓からの排尿 ねずみで成功2015.11.12 
ねずみの体内に新たな腎臓やぼうこうを作りだし実際に尿を体外に排出させることに、東京慈恵会医科大学などの研究グループが成功し、人工透析が必要となるような重い腎臓病の新たな治療法の開発につながると期待されます。
この研究を行ったのは、東京慈恵会医科大学の横尾隆教授らのグループです。
研究グループでは、ねずみの胎児から腎臓やぼうこうに成長する前の未熟な組織を取りだし、大人のねずみに移植したところ、2週間後、体内に新たな腎臓やぼうこうが作られました。さらに大人のねずみの体内にもともとあった尿管とつないだところ、尿管が収縮する運動を始め、新たな腎臓で作られた尿が体外に排出されたということです。
研究グループでは、大型の動物を使って同様の実験を始めているほか、ヒトの幹細胞を使って腎臓の組織を作り出す研究も進めていて、人工透析が必要となるような重い腎臓病の新たな治療法の開発につながるとしています。
横尾教授は「人工透析は患者の負担が重く、コストもかかるため社会的な問題にもなっている。それに取って代わるか、あるいは少しでも負担を少なくできるような治療法の開発を目指したい」と話しています。

【NHK NEWSweb】

◆引用URL: http://www3.nhk.or.jp/news/html/20151112/k10010302921000.html
iPS 細胞を使って腎臓病を治す!2015.10.29 
【iPS細胞を使って腎臓病を治す!/CiRAニュースレターVol22より】

増殖分化機構研究部門の長船健二教授らのグループは、ヒトiPS細胞から腎臓の元となる細胞をつくり、急性腎障害のマウスに移植をすると治療効果があることを発見しました。

腎臓は血液の中から老廃物を濾こし取り、尿をつくる大切な臓器です。他にも体内の水分量を調整したり、赤血球を作る指令を出したり、様々な働きをしています。腎臓が働かなくなってしまうと、腎臓移植を行うことになりますが、移植に必要な腎臓が十分になく、人工透析をしながら移植の順番を待っておられる患者さんもたくさんいらっしゃいます。こうした患者さんは30万人以上になると言われ、腎臓の働きを回復させる医療が求められています。腎臓は血液を通す管と尿を通す管が組み合わさり、多数の細胞が複雑な立体的構造を作っているため、再生することが難しいといわれています。現在のところ腎臓の再生医療は、実現はかなり先になると考えられています。いくつかの方法で腎臓そのものをつくる(再生する)研究も進められていますが、CiRAの長船教授らのグループではiPS細胞を使って腎臓を治す研究を行っています。何らかの障害により急激に腎臓の働きが悪くなることを急性腎障害といいますが、場合によってはそのまま慢性腎不全へと移行することもあります。これまでの方法では急性腎障害によって腎臓の受けたダメージを軽減することはできていませんでした。今回、長船教授らのグループは、腎臓への血流を一時的に止めることにより急性腎障害を起こしたマウスにiPS細胞から作製した腎臓の細胞を移植しました。すると、腎機能の指標となる血中尿素窒素(BUN)値や血清クレアチニン値が、細胞を移植しなかったマウスと比べて著しく下がっていました。また、移植した細胞は腎臓に新たな構造をつくってはいなかったものの、腎臓の機能が回復す増殖分化機構研究部門の長船健二教授らのグループは、ヒトiPS細胞から腎臓の元となる細胞をつくり、急性腎障害のマウスに移植をすると治療効果があることを発見しました。ることが確認できました。これは移植した細胞が腎臓の保護因子を分泌したためであると考えられます。腎臓移植を必要とするような人工透析を受けている慢性腎不全の方の場合は今回の方法では治療は困難ですが、少なくとも急性腎障害を負った方の腎臓の働きを回復し慢性化を防ぐ可能性を示しました。長船教授は「慢性腎臓病や慢性腎不全の治療を目指して、少しでも早く患者さんのもとに新しい治療法を提供できるように研究を進めてまいります」とコメントしています。

【京都大学iPS細胞研究所 CiRA】

◆引用PDF: http://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/pressrelease/pdf/Newsletter_Vol_23.pdf
iPS細胞から「人工腎臓」をつくりだす研究、また一歩前進2015.10.25 
【iPS細胞から「人工腎臓」をつくりだす研究、また一歩前進/WIRED】

人間の腎臓は非常に複雑に構成された器官で、1度機能しなくなると再生しない。今回オーストラリアのマードック小児研究所の研究者チームがヒトiPS細胞を用いて、胚形成期の腎臓に近い構造をつくり、論文が『ネイチャー』誌に掲載された。

再生医療で完全な臓器をつくるための、非常に重要な一歩だ。

日本人研究者・高里実とメリッサ・リトルの率いるオーストラリアのパークヴィルにあるマードック小児研究所の研究者たちは、ヒトiPS細胞(人工多能性幹細胞)を用いて、胚形成期の腎臓に似た構造を実験室内でつくることに成功した。

科学誌『ネイチャー』で彼らが発表した論文によると、今回の成果は、医薬品の毒性試験を行ったり、疾患モデル動物を作成したり、新しい治療法のためのリサーチツールとして利用することができるだろう。

ヒト胚形成期の腎臓は、一般的に前駆体もしくは腎臓前駆細胞から分化し、「尿細管」や正真正銘の心臓部である「腎臓細胞(いわゆるネフロン)」を形成する。今回彼らが『ネイチャー』で報告した成果は、このネフロンや関連する尿細管のネットワーク、ヒト胚中で通常ネフロンを取り囲んでいる結合組織と血管の前駆細胞で構成される、複雑なオルガノイド(三次元細胞集合体)として成長させることに事実上成功した、というものだ。

オルガノイドが発現する遺伝子を調べたところ、3カ月のヒト胎児の腎臓細胞と非常によく似ていることが分かった。また腎臓機能を阻害する実験では、今回つくられたオルガノイドも実際の腎臓細胞と同様の結果を示したという。

非常に有望な知見なのだが、誤解のないように言っておくと、今回の成果はまだ完全なる「人工腎臓」ではないことを強調しておくべきだ。ネイチャーの論文に関連して掲載された『News & Views』の記事は次のように述べている。

「今回の成果は非常にリアルだが、大きなスケールで見ると、まだ腎臓全体の組織ではない。移植可能なレヴェルにするには、するべきことがまだたくさんある。しかしこの研究は正しい方向に進んでいる」

【WIRED】

◆詳細URL: http://wired.jp/2015/10/25/ips-kidney/
細胞培養で作られた腎臓:含まれる細胞種を全部備えたヒトオルガノイド2015.10.22 
表紙は、腎臓オルガノイドの全体を連続的にスキャンしたタイルスキャン蛍光免疫画像で、複雑な構造が見て取れる(タイルの実寸は5.7 × 6.4 mm)。ヒト胚での腎臓の発生は2種類の幹細胞に依存しており、1つの幹細胞種からは集合管が、もう1つからは機能を備えたネフロンが作り出される。M Little、高里実(オーストラリア・メルボルン王立小児病院ほか)たちは以前に、ヒト多能性幹細胞(hPSC)からこの両方の種類の前駆細胞を分化させられることを示している。彼らは今回、これらの構造を誘導するだけでなく、間質組織や血管などの周辺に存在する細胞種を誘導するのにも必要なシグナル伝達条件を明らかにし、それを用いて胚性腎臓の機能的な領域化を再現する腎臓オルガノイドを成長させた。このようなオルガノイドで達成された組織複雑性や機能程度は実際の腎臓に及ぶものではないが、正常なヒト胚性腎臓を再現している。重要なのは、このオルガノイドが薬剤の毒性スクリーニング、遺伝的腎疾患のモデル化、あるいは細胞療法のための特定の腎細胞種の供給源として使用できる可能性を示す証拠が提出されていることであろう。

【nature】

◆詳細URL: http://www.natureasia.com/ja-jp/nature/highlights/68904
皮膚細胞から腎臓細胞を培養 幹細胞リプログラムで再分化2015.10.9 
メルボルンの研究者、成人の皮膚細胞から幹細胞をつくり出し、さらにリプログラムして培養皿の中で腎臓細胞を増殖させることに成功した。

ABC放送(電子版)が伝えた。

この小型腎臓には、濾過細胞や血管もあり、胎児の体内で腎臓が成長するのと同じように成長していた。この研究を手がけたメルボルンの「Murdoch Childrens Research Institute」のメリッサ・リトル教授は、「短期的な目標としては、成長した腎臓のレプリカをつくり、培養器の中で薬品が腎臓に有害かどうかを試験するのに用いることができる。また究極的には臓器ひとつまるままの生体工学が可能になることを期待している。

リトル教授と同僚は以前の研究で、腎単位と呼ばれる、血流を濾過し、尿をつくる腎臓内の最小機能単位をひとりでに形成する腎細胞を造り出すことに成功している。研究チームは、成長因子と呼ばれる、胚性幹細胞が異なる細胞タイプに成長することを促す多種の化学物質を精密に組み合わせることで実験に成功した。

Nature誌に掲載された研究論文で、教授の研究チームは皮膚細胞でも線維芽細胞と呼ばれる種類の細胞を腎細胞に成長させることに成功したことを明らかにしている。そのために、成体線維芽細胞をリプログラムして人工多能性幹細胞(iPS細胞)に作り替え、このiPS細胞が胚性幹細胞同様に機能し、人体のどの細胞にでも分化できるようになるというもの。

リトル教授は、「今回成功した研究では、すべてたった一つの幹細胞から10種から12種の異なる細胞に発達し、それらが小型腎臓を形作っている。以前の研究では、培養皿の上に平面的に構成するだけだったが、今回の研究では5mmから6mm程度の大きさで100ほどの濾過単位で立体的に構成され、血管も形成しかけている」と述べている。

また、「この小型腎臓を腎毒性物質にさらすと損傷を起こすことも突き止めた。これはこの小型腎臓がまさしく腎臓として機能していることを示すものだが、さらに研究を続ける必要がある」と述べている。

■ソース
Kidneys in a dish: Scientists reprogram adult skin cells to make mini kidneys

【日豪プレス NICHIGO PRESS】

◆引用URL: http://nichigopress.jp/ausnews/science/110330/?utm_medium=twitter&utm_source=twitterfeed
ヒト腎臓組織の培養に成功、移植医療に前進 研究2015.10.8 
未発達のヒト腎臓組織を、幹細胞から培養することに成功したとの研究結果が7日、発表された。機能が完全な移植用臓器を実験室で作製するという最重要課題に向けた重要な一歩になる成果だ。

オーストラリアとオランダの研究チームによると、この組織は、生存能力のある臓器ではないが、薬物毒性検査で実験動物の代わりに用いるなどの他の目的に役立つ可能性があるという。

研究チームは、人工多能性幹細胞(iPS細胞)を用いて「腎臓状構造」を培養した。iPS細胞は、別の種類の細胞に分化させることが可能なニュートラルな状態に再プログラム化された成熟細胞だ。

事故や疾患で損傷を受けた臓器の代わりとなるドナー臓器の不足が危機的な状況にある中、幹細胞からヒト臓器を作製することは、科学の長年の目標になっている。

だがこの作業は、単純ではない。科学者らはまず、幹細胞を誘導して、腎臓、肝臓、肺などの細胞に分化させる必要がある。次にこれらの細胞で、実際の臓器の複雑な内部構造を再構築して、移植を受ける人の体内で正常に機能するようにしなければならない。

多数の異なる種類の細胞で構成される臓器の場合は、特にこの一連の過程の最初の部分が最大の難関となっている。例えば腎臓は20種類以上の細胞で構成されている。

■道のりはまだ長い

その結果、形成されたオルガノイド(細胞集合体)は、異なる種類の組織を持ち、ヒト胎児の腎臓に「そっくり」だったと、研究チームは報告している。

英エジンバラ大学(University of Edinburgh)の解剖学専門家、ジェイミー・デービス(Jamie Davies)氏は、今回の成果は「幹細胞に由来する腎臓の形成に向けた重要な一歩」を示すものだと、ネイチャー誌に同時掲載された解説記事に記している。

だがデービース氏は、今回の生成物が「腎臓ではなく、オルガノイド」である点を強調。「臨床的に有用な、移植可能な腎臓の構築が可能になるまでには、まだ長い道のりが待っている」と述べている。

それでもこのオルガノイドは、医療での全く異なるニーズを満たす可能性がある。それは、人間に対する新薬の安全性検査だ。デービース氏によると、このオルガノイド内には、薬剤による損傷を最も受けやすい種類の細胞が存在しているという。(c)AFP

【AFP BBNews】

◆詳細URL: http://www.afpbb.com/articles/-/3062568
再生腎臓:ラットで排尿成功 「10年以内、人へ応用」2015.9.23 
動物の体内で成長させた再生腎臓から、尿を体外に排出させる実験に成功したと、東京慈恵会医科大の横尾隆教授(腎臓再生学)らのチームが、米科学アカデミー紀要に発表した。これまで、腎臓の再生はできていたが、排尿させることができなかった。チームは「腎臓の再生医療の人への応用に向けた大きな一歩」と説明する。

腎臓で作られた尿は、尿管を通ってぼうこうにためられ、体外に排出される。当初、新しく作った腎臓と元からあるぼうこうを人工の管などでつないで排尿を試みたが、人工の管は尿をぼうこうに送る収縮運動ができず、機能しなかった。

チームはラットの胎児から腎臓や尿管、ぼうこうに成長する前の未熟な組織を取り出し、大人のラットの体内で発育。小林英司・慶応大特任教授らによる顕微鏡を用いた手術の技術を使い、成長した腎臓、ぼうこうを元からあるぼうこうと尿管でつなぐことに成功。排尿を確認した。尿には、正常な腎臓で作られる尿の3分の1以上の毒素が排出されていた。人は正常な腎臓の1割程度の機能があれば人工透析を回避できるとされ、機能も問題なかった。

チームは、ブタでも同様の手法で排尿を確認し、サルを使った実験にも着手している。未熟な組織が臓器へ成長する「スイッチ」を入れるには、動物の体へいったん移植することが必要で、動物を利用することに倫理面や種を超えた感染症などの問題があるが、横尾教授は「10年以内に人への応用を目指したい」と話す。

日本透析医学会によると、2013年末に腎臓病を患って人工透析を受けている国内の患者は31万4180人。深刻な腎不全の患者は腎臓移植を受けるしかないが、日本臓器移植ネットワークによると今年8月末現在、移植希望の登録患者が1万2619人に達するのに対し、移植数は脳死と心停止後を合わせても111件。腎臓の再生医療への期待は高い。【藤野基文】

【毎日新聞】

◆詳細URL: http://mainichi.jp/select/news/20150923k0000e040115000c.html
iPS由来細胞、腎不全に効果=急性症状抑制、マウスで確認 京大など2015.7.21 
人の人工多能性幹細胞(iPS細胞)から作製した、腎臓のさまざまな細胞の基になる腎前駆細胞をマウスに移植し、急性腎不全の症状を抑制させることに京都大iPS研究所とアステラス製薬などの研究グループが成功した。人の急性腎不全などにも効果が期待できるという。論文は21日、米科学誌の電子版に掲載された。
急性腎不全は、血液の不足や薬の副作用などで、数時間-数日の間に急激に腎機能が低下する病気で、急性腎障害とも呼ばれる。日本では入院患者の約5%が発症。死亡率が50%超と高い上、腎臓がダメージを受け、慢性腎臓病となるケースも多い。
京大iPS研の長船健二教授らのグループは、人のiPS細胞から、通常胎児のみが持つ腎前駆細胞を安定的に作製する手法を確立。この腎前駆細胞を急性腎不全のマウスの腎臓に移植したところ、腎機能が低下すると上昇する血清クレアチニンなどの数値が抑えられた。また、壊死(えし)や繊維化といったマウスの腎細胞組織のダメージも軽減できたという。
長船教授は「人の腎前駆細胞から分泌された栄養因子が症状を緩和した」と分析。「急性腎不全だけでなく、日本に1300万人以上患者がいる慢性腎臓病の進行抑制にも効果が期待できる。臨床応用や製薬化を目指したい」と話した。

【時事通信】

◆引用URL: http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150721-00000191-jij-sctch

◆参考URL[京都大学iPS細胞研究所-CiRA(サイラ)]: https://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/pressrelease/news/150722-093000.html
iPSの活用を報告 長船教授が講演2015.5.25 
「沖縄県腎臓病協議会講演会」(主催・県腎臓病協議会、共催・全国腎臓病協議会、琉球新報社)が24日、浦添市の国立劇場おきなわ小劇場で開かれ、京都大学iPS細胞研究所の長船健二教授が「再生医療と幹細胞」と題して講演した。約200人が来場し、世界が注目する最先端医療研究の話に耳を傾けた。
長船教授は国内に腎臓病患者が約1300万人、透析が必要な患者が約30万人いることなどを説明。研究室でiPS細胞を使って腎臓や膵臓(すいぞう)の細胞をつくっていることを紹介した。長船教授は「透析患者を減らしたく、新しい腎臓をつくる試みを頑張っている」と今後の研究への意気込みを語っていた。

【琉球新報】

◆詳細URL:http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-243344-storytopic-1.html
iPS細胞研究は日本の「国益」<会社四季報オンライン>2015.5.8 
現在の医療の世界でiPS細胞の研究開発は、最も活発化している分野の一つだ。日本は山中教授のチームを軸に世界のトップを走っている。ここにきてようやくこの「国益」を生かそうとの動きも強まってきた。官民一体となった研究開発の推進だ。米国や韓国などに比べると周回遅れの感もあるが、それでも胎動が感じられるのは確かだ。

医薬品業界トップの武田薬品工業 <4502> は、山中教授の率いる京都大学iPS細胞研究所との共同研究契約を締結。早期に開発のプロジェクトを立ち上げる。同社はこれまでもバイオや再生医療分野の研究開発を積極的に推進してきたが、いよいよiPS細胞の分野にも本格参入する。

10年間で200億円の研究開発費を提供することを発表。民間企業と公的研究機関の提携による資金提供では異例な金額といえる。神奈川県藤沢にある武田の湘南研究所の設備や人材、同社の研究資産など120億円超に相当する幅広い支援も行う計画だ。

製薬会社と大学の研究機関の提携は珍しいことではない。注目すべきは、大学の研究者が企業の研究所へ出向くという開発スキームを構築した点だ。豊富な資金とアカデミックな研究の融合によって日本の製薬産業の国際競争力は一段とアップすることが期待される。

iPS細胞の可能性は無限といえる。理論的には人間を形成するすべての細胞、組織の再生が可能だ。心臓、腎臓、肝臓が再生できれば、心筋梗塞や糖尿病などは薬剤が不要になる可能性も大きい。臓器を取り替えること自体が根本治療になるからだ。皮膚や骨なども再生できれば、医療は飛躍的に進歩するだろう。

これらの研究開発が進めば、幅広いビジネスに直結する点も見逃せない。特に、研究推進を目的とした資材の提供ビジネスなどには大きなメリットだ。リプロセル <4978> 、タカラバイオ <4974> などのベンチャーへの恩恵も大きそうだ。非臨床試験を得意とする新日本科学 <2395> 、イナリサーチ <2176> などにも新たな需要創出が見込まれる。

※当記事は、証券投資一般に関する情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。

【会社四季報オンライン】
<一部抜粋>

◆詳細URL: https://shikiho.jp/tk/news/articles/0/69097/1
iPS細胞から臓器 4年後に世界初の臨床研究 立体的に作製、移植し再生2015.5.4 
人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使って立体的な臓器を作る研究が加速している。万能細胞による再生医療は網膜など細胞レベルでの研究が中心だったが、最近は肝臓や腎臓などを立体的に作製する手法が登場。横浜市立大は立体臓器を世界で初めて移植する臨床研究を2019年度に開始する計画だ。(伊藤壽一郎)

「臓器の芽」

 横浜市立大の武部貴則准教授らは今年4月、さまざまな種類の臓器を立体的に作製する汎用(はんよう)的な手法を確立したと発表した。iPS細胞など3種類の細胞を使って臓器の基になる小さな塊を作り、これを培養して立体的なミニ臓器を作り出すというものだ。

 iPS細胞から目的の臓器を直接つくるのではなく、臓器や器官の細胞に分化する一歩手前の前駆細胞を作製。これを細胞同士をつなぐ間葉系細胞、血管のもとになる内皮細胞と混合して培養し、器官原基と呼ばれる小さな「臓器の芽」に成長させる。

 研究チームはこの手法で約2年前、ヒトiPS細胞から直径約5ミリのミニ肝臓を作ることに世界で初めて成功した。マウスの肝臓に移植すると2 3日で血管がつながり、血流も生まれて一体化。肝機能不全のマウスに移植したところ、約2週間できちんと機能して胆汁も生成し、生存率が大幅に向上した。

 さらに今回、この手法が他の臓器にも適用できるか調べるため、マウスを使って実験。その結果、腎臓や膵臓(すいぞう)、腸、心臓、肺、脳の立体的な原基を作ることができた。移植すると血流も生まれ、特に腎臓は尿を作る能力も発揮することが分かった。

新生児の肝臓治療

 3種類の細胞は、どのように「臓器の芽」に成長するのか。その詳しい仕組みは分かっていなかった。そこでチームは細胞の組み合わせや培養条件を変えて、肝臓の原基が形成される環境を分析した。

 その結果、間葉系細胞が大きな役割を果たしていることが判明。また、細胞が自然に寄り集まる「自己組織化」という現象によって立体化するためには、培養する際の土台となる物質に適切な硬さが必要なことを突き止めた。

 武部准教授は「iPS細胞から多様な立体臓器を作製する道が開けた。再生医療のほか、病態の解明や創薬にも役立つだろう」としている。

 この成果を踏まえ横浜市立大は、肝臓の原基を患者に移植する臨床研究を19年度に実施する計画を進めている。対象は出生前診断で肝臓疾患が見つかった新生児だ。

 原基を作る細胞のうち、肝臓の前駆細胞は、京都大iPS細胞研究所が備蓄している他人由来のiPS細胞を利用して作る。間葉系細胞と内皮細胞は、出産時に臍帯(さいたい)から採取する。肝臓原基は出生直後から数カ月後までに移植する計画だ。

 安全性の確認が課題だが、成功すれば他の臓器にも応用の可能性が広がる。計画を指揮する谷口英樹教授は「早く臨床研究を行い、iPS細胞による新しい治療概念を実証したい」と意気込む。

前倒しで実現

 政府は13年、iPS細胞による再生医療について、10年間で計1100億円の研究費を支援する方針を決定。30年には国内の市場規模を1兆円に成長させることを目指している。

 このため文部科学省や経済産業省、厚生労働省が個別に行っていた研究を統合し効率化。一元的な窓口となる日本医療研究開発機構を今年4月に開設し、体制を強化した。これらを追い風に、立体臓器の研究は急ピッチで進展しそうだ。

 文科省が13年にまとめたiPS細胞研究の工程表では、立体臓器の作製技術は16年末までに網膜や下垂体、肝臓など、21年末までに肺や腎臓、脳などで確立を目指すとした。

 だが肝臓などは横浜市立大が既に確立し、腎臓も熊本大が別の手法で作製に成功した。立体的な構造物を簡単に作れる細胞専用の3Dプリンターを使った臓器作製の取り組みも、東京大や大阪大で進んでいる。

 日本医療研究開発機構の再生医療研究課は「研究の進展は速く、工程表よりも大幅に早まるのは確実だろう」とみている。

【産経ニュース】

◆詳細URL:http://www.sankei.com/life/news/150504/lif1505040015-n4.html
横浜市大など、立体的な臓器の芽を人工的に作製する培養手法を確立2015.4.21 
横浜市立大学の武部貴則准教授らの共同研究グループは、立体的な器官原基(臓器の芽)を人為的に創出する汎用的な培養手法を確立した。

iPS細胞等の幹細胞を用いた再生医療の実現を目指す上では、立体的な複雑構造を再現することが必要であり、多種多様な細胞間相互作用を実現する革新的な3次元培養系が待望されていた。

今回の研究では、「臓器の芽」の形成過程で連続的に取得した画像データの解析を行った結果、3種類の細胞が力学的に収縮することにより立体組織形成が誘発されていることが分かった。そこで、このような収縮現象を引き起こすために重要な細胞の種類を特定するべく、様々な細胞種の組み合わせで共培養実験を行ったところ、間葉系幹細胞の存在が器官原基の自律的形成に必須であることを見出すことに成功した。

さらに臓器の芽の形成を誘発するためには、硬さに関する最適条件が存在することも判明した。実際に、間葉系幹細胞の存在とその外部環境を適切に調製した条件下において、さまざまな器官原基形成の誘発が可能であるか実験したところ、マウス胎児等より分離した細胞を、ヒト間葉系幹細胞と共培養することで、肝臓のみならず、膵臓、腎臓、腸、肺、心臓、脳などさまざまな器官の3次元的な原基を創出することに成功した。

今後は、本研究成果が、さまざまな器官の再生医療を目指す上での画期的な技術基盤となるだけでなく、新たな医薬品開発のツールとして応用できると期待されている。

なお、この内容は「Cell Stem Cell」に掲載された。論文タイトルは、「Vascularized and Complex Organ Buds from Diverse Tissues via Mesenchymal Cell-Driven Condensation」。

【財経新聞】

◆詳細URL:http://www.zaikei.co.jp/article/20150421/246302.html
マウス細胞から小型の臓器作り出す方法開発2015.4.17 
マウスの胎児の細胞から大きさが2、3ミリの小型の腎臓やすい臓を作り出す方法の開発に横浜市立大学のグループが成功しました。
研究を行ったのは横浜市立大学大学院の武部貴則准教授らのグループです。
グループは、マウスの胎児から腎臓とすい臓の細胞を取り出し、それぞれ血管の元になる細胞などと一緒にゼリー状の物質の上で培養しました。
すると、およそ200万個の細胞が自然に集まって立体的な組織を作り、それぞれ大きさが2ミリから3ミリの小型の腎臓とすい臓ができたということです。
そしてこれらの小型の腎臓とすい臓をマウスに移植したところ体内で尿を作り出したり、血糖値を下げるなどの働きも確認できました。
グループは、このほかにも心臓、肺、脳、腸の4つの臓器で同じように立体的な組織を作ることに成功したということで、今後、iPS細胞を使って小型の臓器を作り出せば、さまざまな病気が治療できる可能性があるとしています。
研究を行った武部准教授は「将来、こうした小型の臓器を作って移植すれば、臓器移植を待ちながら亡くなる患者を助けられるのではないか。ヒトにも応用できるよう研究を進めていきたい」と話しています。

【NHK NEWSweb】

◆引用URL: http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150417/k10010051101000.html
京大・山中所長、iPS研究で細胞備蓄充実2015.3.23 
京都大学iPS細胞研究所の山中伸弥所長は2030年までに達成する同研究所の中長期目標をまとめた。iPS細胞技術を利用して生命現象の理解を深めるほか、再生医療に使うiPS細胞の備蓄を充実させる。

近く臨床研究を始めるパーキンソン病の治療では実用化を図るほか、腎臓や赤血球の病気で臨床研究などを目指す。既存薬や開発を中止した薬の効き目を1000-2000人から作ったiPS細胞で試し、創薬につなげる取り組みを進めるとした。【日本経済新聞】
◆詳細URL(有料記事): http://www.nikkei.com/article/DGXLASGG23H3R_T20C15A3TJM000/
iPS細胞で腎不全治療 アステラスと京大、マウス実験成功2015.3.14 
アステラス製薬と京都大学iPS細胞研究所(所長・山中伸弥京大教授)はiPS細胞から作った腎臓細胞で急性腎不全の治療に成功した。マウスを使った実験だが、iPS細胞で腎不全の症状を改善したのは初めて。早期の臨床研究を目指す。19日から横浜市で開く日本再生医療学会で発表する。 京大の長船健二教授らはヒトのiPS細胞から作った腎臓の細胞を、血管を縛って腎不全を起こしたマウスに移植した。移植しないマウスは… 【日本経済新聞】
◆詳細URL(有料記事):http://www.nikkei.com/article/DGXLASGG13H2W_T10C15A3MM8000/
東京大、特殊ペプチドで再生医薬品を創る2015.3.13 
【特殊ペプチドで再生医薬品を創る/東京大学、研究成果発表】

発表のポイント

・HGF(細胞増殖因子の一種)の受容体であるMetタンパク質を選択的に活性化する特殊環状ペプチドを人工的に開発することに成功しました。
・本特殊環状ペプチドは、RaPIDディスプレイ法を用いることによって得られたものです。
・本研究で開発したMet活性化ペプチドは、腎臓病、脊髄損傷や劇症肝炎などの難治性疾患に対する再生医薬品として応用されることが期待されます。

発表概要

増殖因子の一種である肝細胞増殖因子(HGF)タンパク質は、腎臓病、脊髄損傷や劇症肝炎などの難治性疾患の再生治療薬として期待されています。それは、細胞膜上のMetと呼ばれる受容体タンパク質にHGFが結合することにより、細胞の増殖活性や遊走活性が促進され、臓器の創傷治癒能を高めることが知られているからです。しかしながら、HGFはタンパク質であることから、Metタンパク質の活性を制御する分子としては安定性などにおいて課題があり、HGFに代わる分子の開発が求められていました。

この度、東京大学大学院理学系研究科の菅裕明教授と金沢大学がん進展制御研究所の松本邦夫教授の共同研究グループは、Metタンパク質を活性化する特殊環状ペプチドを人工的に開発することに成功しました。グループは、まず、RaPIDディスプレイ法を用いてMetタンパク質に結合する特殊環状ペプチドを取得し、その後化学的に修飾することで、ヒトの細胞におけるHGFと同様な作用機序で細胞の創傷治癒能を向上させる新たな特殊環状ペプチドを開発しました。

今回開発した特殊環状ペプチドは、難治性疾患に対する副作用の少ない再生医薬品として、またiPS細胞をはじめとする多能性幹細胞を用いた再生医療において利用されることが期待されます。

本成果は英オンライン科学誌のNature Communicationsに2015年3月11日10時(イギリス時間)に発表されます。

なお、この研究は、文部科学省創薬等支援技術基盤プラットフォーム事業および日本学術振興会 科学研究費補助金の支援を受けて行われたものです。

発表内容

Metタンパク質は、ヒトの細胞における増殖因子の一種である、肝細胞増殖因子(HGF)が結合する受容体です。Metタンパク質にHGFが結合することにより、HGF Metシグナル経路を活性化させ、細胞の増殖活性や遊走活性が向上し、臓器の創傷治癒能を高めることが知られています。そのため、HGFは腎臓病や脊髄損傷、劇症肝炎などの難治性疾患の再生治療薬として期待されていました。しかし、HGFはタンパク質であることから、Metタンパク質の活性を制御する分子としては、コスト面や物質の安定性に課題があり、HGFに代わる低分子のMetタンパク質活性化剤の開発が求められていました。

共同研究グループは、東京大学大学院理学系研究科の菅裕明教授の研究グループが開発したRaPIDディスプレイ法を用いて、Metタンパク質に結合する特殊環状ペプチドを複数取得しました。細胞膜上でMetタンパク質は、Metタンパク質どうしで二分子結合すること(二量体化。二量体化したペプチドをペプチドダイマーといいます)で活性化することが知られています。そこで、RaPIDディスプレイ法で取得した特殊環状ペプチドを化学修飾により二量体化することで、Metタンパク質二分子を捕捉して近接させるような特殊環状ペプチドダイマーを設計し、合成しました。

開発した特殊環状ペプチドダイマーは、生体由来のヒトのHGFと同様な機序でHGF Metシグナル経路を活性化させ、正常なヒトの細胞における創傷治癒能や微小構造形成能を向上させました。また、この特殊環状ペプチドダイマーはMetタンパク質に限定して活性化させるという極めて高い選択性を有しており、他の受容体型チロシンキナーゼタンパク質を全く活性化しませんでした。加えて、本特殊環状ペプチドダイマーは、HGFの1/10以下の大きさでありながら、Metタンパク質をHGFと同程度に活性化させることができることを確認しています。

研究成果の意義

本研究では、RaPIDディスプレイ法を用いることで、Metタンパク質を活性化する特殊環状ペプチドダイマーを人工的に開発しました。本特殊環状ペプチドダイマーは、HGFと同程度にMetタンパク質を活性化させることができるほか、HGFのように変性によって失活しないため、貯蔵寿命も長く、安定的に使用することができます。また、本特殊環状ペプチドダイマーは高いMet選択性を有することから、難治性疾患に対する副作用の少ない再生医薬品や、iPS細胞をはじめとする多能性幹細胞を用いた再生医療における利用が期待されます。また、本研究の手法を応用することで、Met以外の増殖因子受容体を活性化する特殊環状ペプチドの開発につながる可能性もあります。

◆詳細URL:http://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/press/5067/
増殖や分化同一遺伝子関与 再生医療、がん治療へ道2014.11.25 
東北大大学院歯学研究科の中村卓史准教授(再生医療)、福本敏教授(小児歯科)らの研究グループは、歯、皮膚、毛など「上皮系器官」の細胞の増殖や分化に同じ遺伝子が関わっていることを突き止めた。形や大きさの制御が難しかった歯や皮膚の再生医療に道を開くとともに、がんの診断や治療への応用が期待されるという。 研究グループは、歯などの形成に関わる遺伝子「エピプロフィン」を欠損させたマウスやヒトの細胞を用い、上皮系器官ができる過程を調べた。 歯や皮膚の元となる組織幹細胞は分裂して前駆細胞になり、増殖、各器官への分化、増殖停止へと段階が進む。 これまで増殖、分化、増殖停止は別々の現象と考えられていたが、いずれの段階でもエピプロフィンが、作用する分子を変えながら働いていることが分かった。 組織幹細胞はあらゆる細胞を作りだす万能性を持っており、再生医療への応用が注目されている。エピプロフィンが分化を制御していることが明らかになったことで、正常な歯や皮膚の再生が可能になる。 異常な細胞が増え続けるがんの悪性度診断や、遺伝子治療にも応用できるとみられている。 中村准教授は「一つの遺伝子がオーケストラを指揮するように細胞の運命を決定付け、増殖、分化、増殖停止の全ての機能を有していた。腎臓や肺の再生にも応用できる技術だ」と話す。【河北新報】
岡山大、腎臓構造を幹細胞で再現 世界初、再生医療や新薬期待2014.11.24 
岡山大などのグループは、ラットの腎臓から取り出した幹細胞を試験管内で培養し、腎臓構造の最小構成単位「ネフロン」のような組織を再現することに世界で初めて成功した、と発表した。培養の際に有効な5種類のタンパク質と、その組み合わせを突き止めた。24日付の米科学誌「ステムセルズ」に掲載された。 慢性腎臓病の患者数は国内に8人に1人の割合とされ、慢性腎不全の透析患者も年々増加。今回の研究を基に、幹細胞を利用した完全な腎臓構造の再構築が実現すれば、再生医療をはじめ、新しい治療法、医薬品の開発といった幅広い応用が期待できる。 腎臓は約100万個の「ネフロン」の集合体で、主に血液から不要な物を選別し、尿として体外に排出する役割を持っている。 岡山大病院腎臓・糖尿病・内分泌内科の喜多村真治講師らのグループは、大人のラットから採取した腎臓幹細胞を使用して、タンパク質などを加えて培養。5種類のタンパク質が有効であることが分かった。開始から3-4週間で糸球体や尿細管などの構造からなるネフロンと同じ構造が50-100個確認できたという。 完全な腎臓にするにはネフロン同士をつなげる細胞や血管などが必要といい、喜多村講師は「完全な再現に向けた第一歩。培養の際に加えるタンパク質をさらに検討し、今後はヒトの幹細胞を使った研究を進めていきたい」と話している。 立体的な腎臓組織は、これまで熊本大が人の人工多能性幹細胞(iPS細胞)から作ったと報告している。【山陽新聞】
iPSから膵臓やがん攻撃細胞作製 治療への応用に期待2014.10.20 
人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使って腎臓や膵臓(すいぞう)の細胞、がんを攻撃する免疫細胞を作る研究について、京都大の研究者が講演する発表会が、神戸市中央区の先端医療振興財団であった。いずれの組織も既に一部は試験管内などで作製に成功しており、腎臓病や糖尿病、がんなどの治療に役立つことが期待される。 iPS細胞を使った世界初の移植手術を実施した同財団が、同細胞などによる再生医療の実用化に向けて開いた催しで、研究者や企業関係者ら約100人が出席した。【神戸新聞】
◆詳細URL(有料記事):http://www.kobe-np.co.jp/news/iryou/201410/0007433808.shtml
研究予定めじろ押し「新たな緊張の始まり」2014.9.13 
「iPSが危険な細胞ではないと証明して、あとはお願いします、と…」 「おめでとう。自分も気を引き締めている」 12日夜、人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使った世界初の移植手術を終えた理化学研究所の高橋政代プロジェクトリーダー(53)と、夫で京都大iPS細胞研究所の高橋淳教授(52)は約60キロ離れた神戸と京都でそれぞれ記者会見し「エール」を交換した。 iPS細胞を使ったパーキンソン病治療で、次の臨床研究と目される研究のリーダーとして会見した淳氏。来年初めにも申請を行い、平成30年度に保険診療と併用可能な医療への移行を目指している。 脳内に神経細胞を移植する手術だけに、淳氏は「細胞の数も場所も違う。安全性の検証についてデータを積み上げることが重要」と、オールジャパンの情報共有が必要と話す。実際、iPS細胞を使った臨床研究の予定はめじろ押しだ。京大の別のチームは、けがのときに出血を止める「血小板」をiPS細胞で作り、来年にも血小板減少症治療の臨床研究を予定している。 数年内には、大阪大が心不全治療用の心筋細胞と視力回復のための角膜、慶応大では脊髄損傷を治療する神経細胞をiPS細胞から作製・移植する計画だ。 その後には、立体的な臓器を作る研究も続いている。横浜市立大は昨年7月、iPS細胞を使って直径5ミリ程度の小さな肝臓を作ったと発表。熊本大も2ミリ程度の立体的な腎臓組織の作製に成功している。 岡野栄之慶応大教授(再生医学)は、「安全性は人に投与してみないと分からない。いろんな病気への再生医療を実現するにも、今回は非常にいいお手本」と、他の研究を後押しする相乗効果に期待を寄せる。 iPS細胞の生みの親、山中伸弥京都大教授は「慎重にデータを重ねて、数年後に加速できる環境ができる」と述べ、「新たな緊張の始まり」と表情を引き締めた。【msn産経ニュース】
世界初の完全な臓器再生に成功 英エジンバラ大学2014.9.7 
心臓や肝臓、腎臓疾患を抱える患者に取って希望の光となる研究成果が報告されています!英エジンバラ大学が今回、細胞から完全な臓器を再生することに成功しました。これまでにも、細胞による体外での臓器再生は臓器の一部分のみで成功していたものの、完全に機能する臓器の再生に成功したのは初めてとのこと。安全性や人体への効果などを検証するため、導入されるまでにはまだ時間がかかると見られていますが、難病治療に向けた大きな技術躍進に期待が高まっています。研究チームが成功した実験では、この技術をマウスの胸腺の再生に利用。体内に注射した細胞が完全な臓器に成長するというもので、現在は臓器移植に頼っている様々な疾患に対する新たな治療法になると考えられています。研究を率いたエジンバラ大学のクレア・ブラックバーン教授は「細胞から代替臓器を育てることは再生医療の最も困難な探求の一つだった」と述べ、「細胞を直接プログラムし直して人口細胞を作り出し、完全な臓器として育てることができた」と説明しています。実験では、心臓近くにある臓器である胸腺の再生にあたり、マウスの胎芽(受精卵が分裂を始めてから分化が終了するまでの生体)から線維芽細胞を取り出し、胸腺の細胞として働くようプログラムをし直したそう。赤ちゃんの体と臓器が子宮の中で育つように、この細胞も成育させることに成功しました。英医学研究会議(TheMedical Research Council、 MRC)の再生医療を率いるロブ・バックル博士は「損傷や疾患のある臓器の治療のために他者からの臓器移植に頼ることは、とりわけ提供者が少ないことなどからも多くの難点がる」と述べ、今回の成功は「まだ最終的なゴールには遠い」としながらも、「細胞機能変換技術の潜在能力を示すものとなった」と歓迎するコメントを残しています。現行の臓器移植の難しさの大幅な改善や免疫疾患への有効性など、今回の成功により期待される医療領域は実に多岐に渡るもの。一日も早く私たちの医療に活かされる日が来ることを願ってやみません……!【マイナビウーマン】
京大、細胞移植による糖尿病治療実現へ向けて大きく前進2014.6.24 
京都大学の岩田博夫教授らによる研究グループは、マウスへの細胞移植で100日を超える期間にわたって血糖値が正常化し、糖尿病を治療することに成功したと発表した。 現在、糖尿病患者は人工透析を受ける必要があり、費用的にも身体的も大きな負担となっている。そこで、新しい治療方法としてインスリン分泌組織の移植が研究されてきたが、(1)移植細胞を拒絶反応や自己免疫反応から保護するため免疫抑制剤の副作用が心配、(2)移植部位が深部の重要臓器である肝臓や腎臓であるため、何か問題が起きたときにインスリン分泌組織を除去することが困難、(3)インスリン分泌細胞である膵島の提供者が少なく、治療を施せる患者数は年に4、5人に限られる、という課題があった。 今回の研究では、糖尿病のラットの皮下に、塩基性繊維芽細胞増殖因子を含むアガロースロッドを埋め込み、免疫反応の起きない免疫特定部位を作成することに成功した。また、この部位に移植したインスリン分泌組織によって血糖値が正常化することが確認できた。 今回の手法では、(1)の課題については、免疫抑制剤の投与は必要なく、(2)については、皮下への移植であるのでもしもの時は容易に取り除くことが出来る。また、(3)についても、ヒトiPS細胞から高効率で分化誘導が可能に成りつつあり、この1、2年の間に大量の膵島を確保できる技術が確立できる見通しとなっており、研究グループは、「理想の治療法が確立できたと考える」としている。 岩田教授は、「再生医療は高額の医療費がかかり、医療として定着するか危ぶむ声があります。しかし、一人当たり年間約500万円の医療費がかかる透析患者を減らすことができれば、当初1000万円かかったとしても十分医療費を削減でき、何よりも患者は極めて快適な生活が送れるようになると考えます」とコメントしている。 なお、この内容は、「American Journal of Transplantation」誌の電子版に掲載された。【財経新聞】
肝臓や腎臓、立体組織作製進む 再生医療学会で発表2014.3.5 
横浜市立大のチームなどは5日、再生医療や新薬の安全性試験に使える肝臓や腎臓などの立体的な組織を作製する手法を、京都市で開かれている日本再生医療学会で発表した。最近注目を集める3Dプリンターを使った方法も紹介された。 横浜市立大の武部貴則准教授は、細胞が自然に寄り集まって米粒ほどの小さな臓器の「種」を作る培養法を利用した。作りたい臓器のもとと血管のもと、細胞同士をつなぐ間葉系細胞という3種類の細胞を計数十万-100万個混ぜて育てる。 昨年、肝臓の種を作る方法を論文発表した。今回は、同じ方法で膵臓の種の作製に成功した。【京都新聞】
iPSから効率よく腎臓の元に変化 京大が化合物発見2014.1.22 
ヒトiPS(人工多能性幹)細胞を腎臓の元となる細胞に短期間で効率よく変化させる安価な化合物を京都大iPS細胞研究所の長船健二准教授や荒岡利和研究員のグループが見つけた。ビタミンAの一種で、現在使っているタンパク質の千分の1以下の価格で済む。再生医療や新薬開発に必要な細胞の作製費用を大幅に抑えることが期待できるという。 iPS細胞から腎臓の元となる細胞の中間中胚葉に変化させるために加えるタンパク質は非常に高価な上、微生物に作らせるため品質が不安定だった。グループは、中間中胚葉になると光るように遺伝子改変したiPS細胞とさまざまな薬剤の反応を実験できる装置を使い、約1800種類の化合物から効率よく作れる2種類のビタミンAを見つけた。 従来のタンパク質を使う方法の半分の5日間で、iPS細胞から中間中胚葉を作製できた。再生医療では大量の細胞が必要となり、安価な化合物を使う手法は大きなメリットがあるという。 長船准教授は「今後、化合物を使って作製した細胞の機能を詳細に調べていきたい」と話している。米科学誌プロスワンでこのほど発表した。【京都新聞】
進むiPS研究/複雑組織の作製、国内外で相次ぐ-移植医療への応用期待2014.1.13 
さまざまな細胞に変化する能力を持つiPS細胞(万能細胞)で、腎臓や肺の組織を作り出したという研究成果が国内外で相次いで報告された。腎臓や肺は生体内の臓器の中でも構造が複雑。いずれも臓器の発生過程をヒントにした培養手法により、組織を構成する複数種類の細胞を同時に分化させることに成功した。まだ臓器の一部分にすぎないが、立体的な組織をiPS細胞で作製する研究は将来の移植医療への応用も期待される。 腎臓の組織をiPS細胞で作製した成果を12月に発表したのは熊本大学の西中村隆一教授らのグループ。腎臓を構成する小さなユニットで、3種類の上皮細胞で構成される「ネフロン」という組織を再現した。 また、米コロンビア大学医療センターのグループは、肺の気管支や肺胞を構成する複数種類の上皮細胞をiPS細胞で作製した。【日刊工業新聞】
◆詳細URL:http://www.nikkan.co.jp/news/nkx1020140113eaae.html
3Dプリンターで動脈を「立体複製」 4年後実用化 佐賀大など開発2014.1.6 
3次元(3D)のデータを基に複雑な立体物を簡単に複製できる「3Dプリンター」を活用し、患者本人の皮膚などから動脈を作製する技術を、佐賀大学と東京のバイオベンチャー企業が共同で開発したことが5日、分かった。3Dプリンターでの血管作製技術の確立は国内初。作製した動脈は、人工透析や心臓の冠動脈バイパス手術の移植などに使用するといい、佐賀大医学部で動物への移植実験が進んでいる。安倍晋三政権が3Dプリンターの普及・拡大を成長戦略の柱の一つと位置づけるなど、技術開発推進への機運が高まる中、この“魔法の箱”は製造業だけでなく医療のあり方も変えようとしている。血管作製技術は、佐賀大大学院工学系研究科の中山功一教授(先端融合医工学)と、パナソニックで携帯電話の開発などに取り組んだ経験を持つ口石(くちいし)幸治氏が2010年8月に設立した再生医療バイオベンチャー企業「サイフューズ」(東京都文京区)が共同で開発。基本特許は各国に出願済みで、すでに日本、米国、中国、シンガポールで権利を取得し、臨床試験などを経て18年の実用化を目指している。 腎臓機能が低下する「慢性腎不全」となった患者は血液を透析機に送り、体外で血中の老廃物や毒素などを除く人工透析治療が必要だが、1分間に200ミリリットル以上のペースで大量の血液を透析機に供給(脱血)するため、樹脂製の人工血管の移植を迫られるケースが多い。しかし、樹脂製の人工血管は、体内で菌の感染を拡大させる恐れがあるのが課題だった。患者本人の細胞からできた人工血管は自己免疫が働きやすく、抗感染性に優れるとされる。中山教授らの研究チームは、患者本人の皮膚細胞などを材料に、3Dプリンターで血管を作製する研究に着手。血管の立体組織を形状を崩さずに作るため、生け花の剣山のように金属製の針(太さ約0.1ミリ、長さ約10ミリ)が無数に並んだ装置が内蔵された特殊な3Dプリンターを開発した。3次元データを入力した上で、皮膚細胞などから採取した細胞の塊を3Dプリンター内の数十本の針に円を描くように筒状に差し込むことで、わずか10日程度で、直径2-3ミリの動脈の作製に成功した。細胞をより外側の針に差し込むことで血管を太くしたり、針の長さを伸ばすなどして長い血管も作製できたという。サイフューズによると、まず30万人以上といわれる国内の人工透析患者のために実用化する予定で、将来的には心臓の冠動脈バイパス手術時の移植用途にも拡大する。同様の技術は米国企業がすでに開発しているが、臨床試験はまだ始まっていない。サイフューズは「臨床試験では追いつくことができ、実用化では日本が先行できる可能性が高い」としている。【msn産経ニュース】 日本政府は14年度予算案で、3Dプリンターの開発補助に40億円を新規計上。支援体制が強化される中、人工多能性幹細胞(i0002P0001S0001細胞)と3Dプリンターという両最先端技術を組み合わせた再生医療の研究も始まっている。 京都大学と東京大学は昨秋から、人体で最も複雑な形状とされる耳の軟骨の型を3Dプリンターで作製し、そこにi0002P0001S0001細胞を注入して耳を再生する研究に着手した。3Dプリンターが再生医療にも革命をもたらす。【msn産経ニュース】
iPS細胞から腎臓組織、中心は大学院生だった2013.12.15 
熊本大発生医学研究所のグループが人間のiPS細胞(人工多能性幹細胞)から立体的な腎臓組織の生成に成功し、生成過程や病気の原因解明に役立つと期待されている。 その成果の中心的役割を担ったのは、大学院生の太口(たぐち)敦博さん(31)だった。 太口さんは大阪市出身で、九州大医学部を卒業。研修医を経て、東京の順天堂医院で腎臓内科医として臨床の現場に立った。人工透析に苦しむ患者に接する中で、抜本的な治療に役立つ研究をしようと決意。2009年春、熊本大大学院に入り、腎臓発生学の研究で知られる西中村隆一教授(50)の門をたたいた。 腎臓組織の生成への挑戦を始めたのはその時から。西中村教授とほぼ2人で研究を進めた。 まず、腎臓細胞の一歩手前の「前駆細胞」を作り出すことを目指した。最初はマウスの細胞を使い、従来の学説で腎臓組織になるとされている細胞群「中間中胚葉」を育てたが、なかなか成果を挙げられなかった。 そこで、太口さんは「別のところに起源があるのでは」と考えた。試しに、中間中胚葉の周辺にあり、従来は廃棄していた胎児の下半身の元となる「体軸幹細胞」を使ったところ、12年3月、前駆細胞ができた。顕微鏡をのぞいた西中村教授は涙を流し、太口さんと固く握手を交わしたという。 この成果を元にグループは人間のiPS細胞を体軸幹細胞に変え、さらに化合物を加えて試験管内で培養。血液をこして尿のもとを作る「糸球体」と、水分など必要な成分を再吸収する「尿細管」が組み合わさった腎臓の基本構造ができたという。 西中村教授は「移植できるまでには組織を大きくする技術や、腎臓とぼうこうをつなぐ尿管も必要。10年以上かかるだろうが、腎臓再生に向けた大きな一歩になった」。太口さんは「結果を期待していないところから成果を挙げることができ、我ながら驚いた。臨床の現場で役立つ研究を進めていきたい」と意欲を見せていた。 腎機能悪化による透析患者は全国約31万人にも上る。現在最も有効な治療法は腎移植だが、臓器提供者(ドナー)は少なく、多くは透析による治療を余儀なくされている。【YOMIURI ONLINE】
iPS細胞から腎臓組織 熊本大、世界初の立体構造 2013.12.13 
熊本大の西中村隆一教授らは、人のさまざまな細胞に育つヒトiPS細胞から、複雑な立体構造の腎臓組織を作ることに初めて成功した。老廃物をこしとる「糸球体」と、栄養分や水分を吸収する「尿細管」が再現できた。腎臓移植が必要な患者の皮膚や血液から新たな腎臓組織をつくり、正常な機能を取り戻す再生医療の足がかりとなる。 iPS細胞のような万能細胞から、腎臓の重要な組織である糸球体と尿細管の立体構造を作ったのは世界初という。研究成果を13日、米科学誌セル・ステム・セル(電子版)に発表する。 糖尿病などで腎機能が低下し、重症になると人工透析が必要となる。国内の人工透析患者は31万人とされ、年間の医療費は1兆円に及ぶとされる。腎臓を移植する方法もあるが、提供者は不足している。完全な腎臓組織を再生できれば、移植に使えるとみている。 腎臓は血液をろ過して老廃物などを体の外に出す働きなどがある。哺乳類の腎臓は構造が複雑で、どのようにできるのかが分かっていなかった。 研究チームはヒトのiPS細胞の培養液にたんぱく質などを加え、下半身の神経や筋肉をつくる幹細胞を作製。次に腎臓のもととなる細胞に変え、糸球体と尿細管を持つ腎臓組織に育てた。マウス実験では尿をつくる機能は確認できなかった。 今後、完全な腎臓をつくるには膀胱(ぼうこう)と腎臓をつなぐ「尿管」も不可欠。糸球体や尿細管も3カ月の胎児の頃の大きさで、さらに成長させる必要がある。 再生医療研究に関する国の工程表では、再生した腎臓細胞を治療に使う研究は2022年以降とされていたが、大幅に前倒しできる可能性が出てきた。【日本経済新聞】
リプロセル、6月26日に新規上場2013.6.23 
リプロセルは、ヒトiPS細胞及びヒトES細胞の技術を基盤としたiPS細胞事業と、腎臓移植などにかかわる臨床検査事業を展開している。ヒトiPS細胞から、心筋、神経、肝臓などの様々な細胞を作製し、専用培養液やコーティング剤とともに主に製薬企業に販売。臓器移植及び造血幹細胞移植で必要とされる臨床検査に特化した検査受託サービスも提供している。今回の公募で調達する14億円は臓器細胞を増産するための設備投資や研究開発費などに充てる。2013年の通期最終損益は6000万円の赤字になる見通し。来期は黒字転換を目指すが、繰越欠損金の解消には時間がかかるため、当面は無配が続く見通し。【Asset Alive】
ヒトiPS/ES細胞からネフロン前駆細胞を効率よく作製する方法を発見2013.6.18 
アステラス製薬と京大iPS研、所長:山中伸弥教授は、腎臓の再生医療に関する両者の共同研究において、iPS細胞およびES細胞から腎臓を再生する過程の一つの段階を効率よく進める方法を発見しました。このたび、この結果を国際幹細胞学会(ボストン、2013年6月12-15日)で発表しました。腎臓の再生医療は、慢性腎不全などの難治性腎疾患の治療に貢献するものとして開発が望まれています。難治性腎疾患には現在有効な治療法がなく、高齢化社会の進展により今後も患者の増加が予想されています。また、根治的な治療法となる腎移植では、ドナー不足の問題もあります。アステラス製薬は、iPS細胞から腎臓を再生する研究の第一人者である京大iPS研の長船健二准教授のグループと、腎臓の再生医療に関する共同研究を行ってきました。この研究では、ES細胞およびiPS細胞のような多能性幹細胞から腎臓の機能単位であるネフロンに存在する細胞を作製し、創薬や再生医療へ応用することに取り組んでいます。これまでに長船准教授のグループは、多能性幹細胞をもとに、腎臓が発生する過程で生じる中間中胚葉を効率よく作製する方法を発表しています。今回の研究では、この中間中胚葉を各種の増殖因子や化合物で処理し、ネフロンを構成する前段階の細胞であるネフロン前駆細胞を効率よく作り出す方法を開発しました。また、この方法で作製したネフロン前駆細胞を解析した結果、生体のネフロン前駆細胞に特徴的な各種の遺伝子が発現していること、ネフロンを構成する細胞になる能力があること、in vitro 3次元培養系やin vivoで尿細管に特有のたんぱく質を発現し、尿細管に類似した立体的な構造を形成することを確認しました。【アステラス製薬株式会社】
◆詳細URL:http://www.astellas.com/jp/corporate/news/detail/ipsipses.html
貧血治療にiPS活用 赤血球増やす細胞作製に成功2013.4.22 
赤血球が増えるのを手助けする細胞をヒトのiPS細胞からつくり出すことに、香川大と京大のチームが成功した。腎臓が原因で起きる貧血について、現行の治療法より体の負担が軽い新治療法の開発を目指す。つくったのは、エリスロポエチンというホルモンをつくる細胞。腎臓にあり、酸素を運ぶ赤血球を必要に応じてつくるよう、骨髄に促す働きをしている。腎機能が落ちてこのホルモンが減ると貧血になる。香川大の人見浩史助教らは、ヒトのiPS細胞を数種類の化学物質などで刺激。できた複数の種類の細胞から、ホルモンをつくる細胞だけをより分けた。細胞がつくったホルモンを貧血のマウスに注射すると、赤血球の量が回復した。【apital】
◆詳細URL:http://apital.asahi.com/article/news/2013042200012.html
ラット腎臓再生、移植も成功=構造だけ残し新細胞注入 米病院2013.4.15 
死んだラットの腎臓を薬剤で処理してたんぱく質で構成される構造だけ残し、別のラット新生児の腎臓細胞を注入して機能を再生させる実験に成功したと、米マサチューセッツ総合病院とハーバード大の研究チームが4月14日付の米誌ネイチャー・メディシン電子版に発表した。
腎臓を切除したラットにこの再生腎臓を移植する実験でも、血管や尿管がつながって尿が出ることを確認した。正常な腎臓に比べればまだ機能が大幅に低いため、研究チームは今後、技術を改善し、腎臓移植が必要な患者で腎臓再生の実現を目指している。死んだり、機能不全に陥ったりした臓器を薬剤処理して構造だけ残し、再生の型として利用する方法は国内外で研究が進められ、心臓や肺、肝臓でも試みられている。iPS細胞やES細胞をこれらの臓器の細胞に変えることができても、立体的な構造を作ることが難しいためで、臓器再生の有力な技術と期待されている。【時事通信】
細胞生きたまま「ひも」に…再生医療に応用2013.4.1 
東大生産技術研のチームは、人間やラット、マウスの細胞を生きたままの状態でひも状に加工することに成功したと、科学誌ネイチャー・マテリアルズ電子版で、4月1日発表する。ひもを織ったり巻いたりすることで、血管や筋肉、神経など立体構造を持つ組織の再生医療に役立つ可能性があるという。竹内昌治准教授らは、細胞とコラーゲンを含んだ溶液を極細の管に流しながら固め、細胞を直径約0・1ミリのひもにする技術を開発。この技術を使って、人間やラットの血管や筋肉などの細胞をひもに加工した。ひもは長さ1メートル当たり300万個の細胞が含まれ、10メートル以上のものも作製できるという。チームは、ラットの膵臓から、血糖値を調節するインスリンを分泌する細胞を集めてひもを作製。インスリンが分泌できない糖尿病のマウスの腎臓に、このひもを移植すると、2週間以上インスリンを分泌したという。チームは「将来、人間の糖尿病治療に応用できる可能性がある」としている。【YOMIURI ONLINE】
iPS細胞から膵臓組織「膵島」 糖尿病マウスで機能確認2013.3.17 
ヒトのiPS細胞から、血糖値を調節する膵臓の組織「膵島」を効率よく作ることに、東大分子細胞生物学研の宮島篤教授、渡辺亜美研究員のチームが3月17日までに成功した。 血糖値を下げるホルモン「インスリン」を作れない1型糖尿病を発症させたマウスの腎臓の皮膜の下に移植すると、血糖値が正常な値に下がって保たれ、生体で十分に働くことが確認できた。22日に日本再生医療学会(横浜市)で発表する。今後はiPS細胞から安価で大量に膵島を作る技術を開発し、糖尿病患者への移植治療に利用したい考え。【共同通信】
再生医療、30年に1兆円市場=開発進み急拡大-経産省研究会が試算2013.2.22 
経産省の「再生医療の実用化・産業化に関する研究会」(座長・岡野光夫女子医大教授)は2月22日、iPS細胞などを使った再生医療の国内市場規模が、2030年に現在の約110倍の1兆円に拡大すると試算した報告書案をまとめた。報告書案によると、国内で承認された再生医療製品は現在2種類しかなく、やけどの治療などで使用されている。他に未承認の製品が保険外診療のがん免疫細胞療法や美容医療で使われているが、12年の市場規模は90億円にとどまる。研究会は、20年には国内で角膜や軟骨の再生医療の開発が進み、市場は950億円まで拡大。30年には膵臓や腎臓の病気で臓器移植に代わる再生医療が可能になり、1兆円市場になると算出した。細胞の培養装置や試薬など関連分野を含むと、1兆6000億円になり、同年の世界市場は17兆円と予測した。【時事ドットコム】
再生医療参入後押し 京都市、新年度から中小対象2013.1.31 
京都市は新年度から、再生医療分野で事業化を目指す中小企業の参入支援を本格化する。山中伸弥京大教授のノーベル医学生理学賞受賞で再生医療研究に弾みがつく中、京大に専門コーディネーターを配置し研究者と企業との橋渡しをするなど、新産業の創出を後押しする。京大に設けた市の産学公連携支援オフィスに元大学教授や企業研究者OBによるコーディネーター数人を雇用し、京大医学研究科内に置く。コーディネーターは研究者のニーズを吸い上げ、必要な技術を持つ中小企業との間をつなぐ。また資金に乏しい若手研究者やベンチャー企業を対象に、ヒトiPS細胞から腎臓細胞の作成に成功した研究にも生かされた助成金枠も拡充するなど、研究開発や実用化を促進させる。産学公連携支援オフィスは、2011年に京都市などが国の「関西イノベーション国際戦略総合特区」に指定されたのを機に、市が巨大市場への成長が期待される先端医療分野での産業振興を目指して設けた。しかし学内の情報を十分得られず、研究に要する金属・ガラス加工やフィルター開発などが他地域の企業に奪われ、研究者からも必要な技術の開発委託先が分からないという声が上がっていた。こうした課題を解決しながら、再生医療の中心地である強みを生かし、精密加工や計測機器製造などに高い技術力を誇る京都の中小企業に事業進出を促していく。【京都新聞】
iPSから腎臓の元 京大グループ、高効率で作製2013.1.23 
ヒトiPS細胞から腎臓になる細胞(中間中胚葉)を高効率で作り、腎臓の立体構造の一部を再現することに、京大iPS細胞研の長船健二准教授や前伸一研究員らのグループが成功した。人工透析が必要な患者への再生医療や、腎臓病の新薬開発につながる成果で、英誌ネイチャー・コミュニケーションズで1月23日発表する。腎臓は約20種の細胞で組織される複雑な臓器で、生殖器や副腎とともに、発生初期にできる中間中胚葉から作られる。グループはヒトiPS細胞に骨形成などを促す複数の生理活性物質などを加え、9割以上を中間中胚葉に分化させることに成功。これらの中間中胚葉は、試験管で培養したりマウスの精巣に移植することで、尿の成分の再吸収やろ過を担う尿細管や糸球体を作る細胞に分化した。中間中胚葉をマウス胎児の腎臓の細胞と一緒に培養すると、管状の立体的な構造をした尿細管を形成することも確認した。移植医療や、血液透析のためのバイオ人工臓器への応用の可能性を示した。グループは腎機能が低下する難病の常染色体優性多発性嚢胞腎の患者からiPS細胞を作ることにも成功しており、腎臓病の原因の解明や薬剤の開発が進むことが期待される。【京都新聞】
10年以内に臓器作製技術2012.11.2 
iPS細胞研究の到達目標時期などを設定した文科省の工程表の改定素案が11月1日、明らかになった。立体的な臓器の作製技術を10年以内に確立することを新たな目標に掲げたほか、臨床研究の開始時期を赤血球で2年前倒しする。再生医療の実現に向け、研究の急速な進展を反映させたものとなりそうだ。11月2日に開かれる同省科学技術・学術審議会の作業部会に提出し、有識者の審議を経て正式決定する。素案によると、肺や腎臓、大脳などを対象に、移植のための立体的な臓器を作製する技術を新たな研究項目に加え、平成33年末までの確立を目指す。細胞や組織レベルではなく、器官の機能再建を視野に入れたもので、立体的な形状や大きさ、内部の血管形成などを制御しながら臓器を構築する技術開発を目指す。ただ、作製した臓器の移植には安全性の確保などさらに多くの課題を克服する必要がある。また、臨床研究の開始時期を赤血球で現行の31年から29年に早めるほか、再生医療に必要なiPS細胞ストック(備蓄)の構築は来年末を目指す。一方、研究が長期化する分野もあり、造血幹細胞などの臨床研究や細胞の初期化メカニズムの解明は、現行より3年遅くなる。文科省は21年6月、約10年後までの目標を示した工程表を作成。約3年で状況が大きく変わったため、24年を起点とする新たな工程表の作成を急いでいた。あらゆる細胞に分化できるiPS細胞を使った再生医療の基礎づくりのため、山中伸弥教授、京大らがiPS細胞の備蓄を年明けにも始めることが11月1日、分かった。細胞作製に必要な血液提供者募集を年内に開始、早期治療の実現に向け現実的な一歩を踏み出す。開始するのはiPS細胞を備蓄するバンク「iPS細胞ストック」。山中教授が所長を務める京大iPS細胞研と同病院が連携して行うもので、同病院の治験審査委員会の承認を得た。iPS細胞を患者の細胞から作製、分化させるには半年かかる。他人の細胞を使うと移植時に拒絶反応が起きるが、さまざまな免疫のタイプ(HLA型)のiPS細胞をあらかじめ作製し備蓄し、患者のタイプに合ったものを選んで目的の細胞に分化させて移植すれば、拒絶反応の少ない早期治療が実現する。同研究所によると、京大附属病院で過去にHLA型を検査した人の中から、日本人が拒絶反応を起こしにくいタイプを持つ健常者を選び、協力を依頼。同意を得た上で血液を採取し、高品質のiPS細胞を作製して移植治療用に備蓄する。当面は5-10種類のHLA型のiPS細胞を備蓄し、日本人の3-5割の免疫タイプをカバーする態勢を目指す。山中教授らは、さい帯血バンクとの連携も将来的に目指しているが、まずは京大を足場に構築を急ぐことにした。【産経新聞】
大動物を用いた肝臓の脱細胞化骨格の作成と体外で肝細胞機能の維持に成功2012.9.24 
日本では、年間4万人以上と言われる肝疾患(肝細胞癌、ウイルス性肝硬変など)患者のうち、重篤な肝不全などの関連する病気により、年間約1万人が亡くなっています。重篤な肝不全で唯一根本的に治癒の見込める治療法は肝移植ですが、肝臓を提供するドナー不足により、肝移植を受けられるのは、移植を必要とする患者の3割にも満たないと考えられています。また、大きな侵襲を伴う肝移植手術を行うことなく、自己再生能を有する肝臓をいかに再生し、新たな治療法として臨床に応用する肝臓の再生医療の開発が望まれています。
慶大学医学部外科学(一般・消化器外科)の研究グループ(北川雄光教授、田邉稔准教授、八木洋助教)はピッツバーグ大学(Soto-Gutierrez A 助教)らとの共同研究において、肝臓から生きた細胞をすべて除去し、骨格だけの半透明な構造を大動物(ブタ)から作成し、そこに再度別のブタの肝臓から分離した肝細胞を生着させることで再細胞化する「脱細胞化」というユニークな手法を用いて、体外で肝細胞機能の一部を維持することに成功いたしました。臓器の細胞外マトリックス骨格だけを残し、そこに臓器が再生するために必要な細胞を入れることによって、移植可能な構造を臓器単位で作成するというコンセプトに基づいたこの技術は、再生医療実現化のための受け皿として、これまで組織レベルあるいはマウスやラットなどの小動物を使って徐々に発展してきました。また、この技術を用いて、皮膚・器官・血管・関節・心臓弁などでは、実際の再生医療に応用された例が報告されていますが、消化器分野ではその構造と機能の複雑さから、再生医療への実現は困難でした。本研究成果により、大動物の肝臓を使って技術的に移植可能な構造を再現できたことは、これまで困難であった肝臓、膵臓、腎臓などの実質臓器の再生と、今後の臓器の再生医療実現化へ向けて大きく飛躍させる技術革新となる可能性が期待されます。
この研究成果は、科学誌「Cell Transplantation」に掲載されました。本研究はJSPS科研費23689059、慶應義塾大学次世代研究プロジェクト推進プログラムなどの助成を受けたものです。【慶應義塾大学医学部、プレスリリース】
◆詳細PDF:http://www.keio.ac.jp/ja/press_release/2012/kr7a4300000b06y3-att/120924_1.pdf
マウスの腎臓の芽をラットに移植し丸ごとラットの腎臓に再生させる方法を開発2012.5.9 
マウスの胎児から採取した腎臓の「芽」をラットに移植し、丸ごとラットの腎臓に再生させる方法を、慈恵医大や自治医大などのチームが開発した。慢性腎臓病の患者にブタなどの胎児の腎臓を移植し、患者の腎臓として成長させる治療につながる研究として注目されそうだ。米科学誌ステムセルズに発表した。チームは、特定の薬を投与すると細胞が自ら死滅する遺伝子改変マウスを作成。そのマウスの胎児から出来始めたばかりの腎臓を取り出し、免疫抑制剤を投与したラットに移植した。移植から10日後、マウス腎臓にラットの血管が入り込んで成長を始め、ラットの遺伝情報を持つ腎臓特有のホルモンを作った。その後、マウスの細胞の死滅を誘導する薬をラットに飲ませたところ、2週間後にマウスの細胞が完全に消え、ラットの遺伝情報を持つ細胞だけの「腎臓」が残った。この腎臓とぼうこうをつなぐ尿管が開発されれば、腎臓として機能させることが可能になる。東大などが2010年、iPS細胞を使って、マウスの体内でラットの膵臓を作ることに成功している。【毎日jp】
遺伝性の疾患にかかっていても正常なiPS細胞が作製可能2012.2.10 
遺伝性の疾患にかかっていても、正常なiPS細胞が作製できることを京大と帝京大などのチームがマウスで突き止め、2月10日付の米オンライン科学誌プロスワンに発表した。遺伝性疾患では遺伝子の異常が引き継がれるため、再生医療に使えるiPS細胞を作るのが難しいとされていた。今回の対象は片方の親からの遺伝で発症するタイプの多発性嚢胞腎で、腎臓に無数の小さな袋ができて腎機能が低下する。この病気のマウスから作った正常なiPS細胞を利用して誕生させたマウスは正常な腎臓を持っていた。チームの多田高京大准教授(幹細胞生物学)は「一部の遺伝性疾患では、自分の細胞から作ったiPS細胞を治療に応用できる可能性を示した」としている。【msn 産経ニュース】
ES細胞を使い脳下垂体を人工的に作り出すことに世界で初めて成功2011.11.10 
あらゆる細胞になることができるマウスのES細胞を使い、脳下垂体を人工的に作り出すことに、理研発生・再生科学総合研(神戸市中央区)などのチームが世界で初めて成功した。生体内で正常に機能することも確認しており、器官発生研究グループの笹井芳樹ディレクターは「複数の組織の相互作用で形成される脳下垂体が作れたのは非常に意義が大きい。iPS細胞にも応用でき、再生医療の分野が広がる可能性がある」としている。論文は11月10日、英誌ネイチャー電子版に掲載された。グループによると、脳下垂体は副腎皮質ホルモンや成長ホルモンなどを制御する重要な器官。発生過程が複雑で、ES細胞などの幹細胞から作るのは不可能とされてきた。グループは、約1万個単位のES細胞の固まりを作る凝集浮遊培養法で培養。6日後には、口腔外胚葉と視床下部の細胞からなる2層構造ができた。さらに培養したところ、脳下垂体の前段階のラトケ嚢と呼ばれる組織を経て、副腎皮質ホルモンなどに必要な細胞ができた。脳下垂体を除去したマウスを、そのままのグループと培養でできた脳下垂体を移植したグループに分けて比較。移植しなかったマウスは活動が低調で8週間後までに全て死亡したが、移植したマウスは85%が生存し、活発に運動。副腎皮質ホルモンも分泌されていた。【時事ドットコム】
◆詳細URL:http://www.riken.jp/r-world/info/release/press/2011/111110/
患者から採取した腎臓の細胞を初期化しiPS細胞を作製2011.7.28 
患者から採取した腎臓の細胞を初期化しiPS細胞を作製した画期的成果が米国腎臓病学会のJournal of the American Society of Nephrology最新号に発表された。この成果は、世界中で約60万人の透析や移植が必要な腎臓病に罹患している患者の腎細胞由来のiPS細胞を用いた研究や治療に利用する可能性を示すものである。(Monash University, Australia)(Chinese Academy of Sciences, China)【iPS Trend】
◆詳細URL:http://www.medicalnewstoday.com/releases/231877.php《2011.7.28》
自分の歯が再生する夢の治療の実現が期待させる基礎技術が開発2011.7.13 
高齢化や事故で歯を失った人が、「本物の歯の入れ歯」の移植を受け、自分の歯が再生する。夢の治療の実現を期待させる基礎技術が、東京理科大と東北大、医科歯科大の研究チームによってマウスで初めて開発され、7月12日付の米オンライン科学誌プロス・ワンに発表された。東京理科大の大島正充助教や辻孝教授らは、マウス胎児から歯のもとの細胞を採取し、歯の原型「歯胚」の段階まで培養。プラスチックの型枠に4、5本並べて入れ、腎臓皮膜下に一時的に移植した。2カ月弱かけて大きさがそろい、エナメル質や象牙質、歯髄、歯根膜を備えて歯槽骨でつながった「再生歯ユニット」に成長させてから型枠を外し、歯を抜いた跡に移植した。1本移植した場合の詳細分析では、顎の骨と結合し、歯髄に血管や神経もでき、餌をかみこなせることが確認された。人間の場合は、歯のもとの細胞をどのように準備し、体内や試験管内でユニットまで成長させるかが課題。移植に伴う免疫拒絶反応を避けるには患者自身の細胞が望ましく、少年なら親知らずの歯胚、大人なら皮膚細胞に遺伝子群を導入して作るiPS細胞を利用できる可能性がある。【時事通信】
辻教授は「インプラント(人工歯根)が打てない小児などの患者の治療にも生かせるかもしれない」と話している。【毎日jp】《2011.7.13》
医療ニーズ調査で重要になる医療技術について再生医療・細胞療法が最も多かった2011.4.13 
ヒューマンサイエンス振興財団が、概ね5年ごとに実施している医療ニーズ調査で、1994年度から2010年度までの16年間に、医師の治療満足度や薬剤貢献度は全体的に上昇し、特に慢性C型肝炎、関節リウマチ、慢性B型肝炎、骨粗鬆症で、治療満足度の向上が大きいことが浮き彫りになった。その一方、アルツハマーや血管性の認知症、膵癌は治療満足度が低く、新薬開発への期待が高いことも分かった。4回目となる10年度調査は、2010年9~12月に実施。60疾患の医療ニーズなどについて、160人の医師が答えた。なお、前回調査で満足度や薬剤貢献度が極めて高かった高血圧症、狭心症、消化性潰瘍、結核は調査対象から除外した。9割以上の医師が、薬剤が治療に貢献していると評価した疾患は、糖尿病、喘息、高尿酸血症・痛風、片頭痛、てんかん、脂質異常症、心不全、白血病、アレルギー性鼻炎、不整脈、関節リウマチの11疾患。一方、薬剤が貢献していると考える医師が3割を下回ったのは、睡眠時無呼吸症候群、血管性認知症、膵癌、アルツハイマー、NASH(非アルコール性脂肪肝炎)、加齢黄斑変性、線維筋痛症、糖尿病性網膜症で、いずれも治療満足度も低かった。患者数予測も調べた。今後10年間で患者が増えるとしたのは、アルツハイマーが最も高く83・6%で、以下、糖尿病83・2%、うつ病80・0%、脂質異常症71・6%、HIV・エイズ70・8%と続いた。患者数が減るとした割合が高かったのは慢性B型肝炎57・7%、慢性C型肝炎55・4%、胃癌 38・7%、子宮頸癌32・4%、肝癌30・3%など。20年に医療上特に重要となる疾患には、約半数の医師がアルツハイマー、糖尿病を挙げ、次いでHIV・エイズ、うつ病、肺癌、血管性認知症、CKD(慢性腎臓病)と続いている。糖尿病を除くと、どれも治療満足度が比較的低い上に、患者数が増加すると見込まれる。新たな薬剤による治療が必要な疾患では、アルツハイマー、膵癌、肺癌、糖尿病、胃癌、大腸癌、HIV・エイズ、肝癌などが上位を占める。
これから重要になる医療技術については、再生医療・細胞療法の68・7%が最も多く、次に約40%で治療用ワクチン、バイオマーカー、画像診断、ゲノム情報、予防医療が並ぶ。再生医療・細胞療法で最も期待される疾患領域は循環器系で、血管再建による血行改善を望む意見が多かった。また、行政やメーカーへの要望を聞いた。行政に対しては、新薬や新医療機器の承認の迅速化、ラグ解消に関する意見が多く、「国内未承認薬の早期承認、ジェネリック薬より、新薬開発のモチベーションが高まる体制作り、治験・臨床研究実施体制の整備・充実」などが望まれていた。メーカーに対しては、希少疾患の治療薬を中心とする新薬開発への期待が大きかったほか、薬剤に関する知識の普及に向け、早く正確な情報提供や、古くても効果がある薬剤の販売継続を求める意見も出ている。 【薬事日報】《2011.4.13》
危険な「幹細胞ビジネス」には厳しい視線を2011.1.31 
◎危険な「幹細胞ビジネス」には厳しい視線を 八代嘉美
◇国の基幹産業として育成される「再生医療」◇
2010年末に政府が2011年度予算案を決定したのを受け、ようやく通常国会での審議がはじまっている。文部科学省の予算案にはかねてより実施されている「再生医療の実現化プロジェクト」への予算がつけられているし、厚生労働省の「元気な日本復活特別枠」(健康長寿社会実現のためのライフ・イノベーションプロジェクトの推進)には、再生医療技術の実用化に向けた研究への予算も盛り込まれた。さらに、文部科学省、厚生労働省、経済産業省の3省が基礎研究、臨床研究、周辺技術等開発、知財戦略等について連携を行い、基礎研究と応用研究の間に横たわる「死の谷」(基礎と応用の所轄官庁が違うために生じる予算の不足や法律の障壁)を埋め、再生医療の早期の実用化を図る「再生医療実用化ハイウェイ事業」が実施されることとなっている。国をあげて「再生医療」を日本の基幹産業として育成していこうということであろう。ヒトiPS細胞の成功以来、日本国内では再生医療に対する認知は急速に高まっており、長い低迷期にある日本にとってひとつの希望であることは間違いない。また、政府は2010年12月に海外から病気の治療や健康診断を目的に来日する外国人への対応として、最長6ヶ月の滞在を認める「医療滞在査証(ビザ)」を新設すると発表しており、将来的には「再生医療」も「医療ツーリズム」の目的として加わっていくことも考えられる。
◇韓国のバイオベンチャー企業が日本で幹細胞移植◇
そんな中、イギリスの科学雑誌ネイチャー2010年11月25日号(http://www.nature.com/news/2010/101123/full/468485a.html) に、韓国のバイオベンチャー企業が日本で幹細胞移植を行っているという記事が掲載された。幹細胞には身体を構成するすべての細胞へと分化しうるES細胞や iPS細胞のような幹細胞とは別に、身体の中にあって、生涯にわたってその組織を維持し、個体の生命を維持していくための幹細胞も存在する。骨髄の中には血液の源となる造血幹細胞があり、脂肪の中にも幹細胞が存在している。こうした幹細胞は体性幹細胞と呼ばれ、iPS細胞などとともに再生医療のための重要な研究対象となっている。記事によれば、韓国のバイオベンチャー企業は糖尿病患者などから脂肪組織由来の幹細胞を単離し、その上で患者と細胞を中国や日本などにある提携クリニックへ送り込み、患者への移植を行っているという。さらに記事によれば、この日本と中国のクリニックで施術をうけた韓国人患者が死亡する事態が生じているという。韓国では新聞などでも大きく報道され、また国会でも取り上げられるなど、大きな問題となっている。韓国国内では、患者自身から取り出した細胞であっても、薬事法で認可を受けなければ、それを調製し投与する行為は行うことはできないとされている。一方、日本の医療現場においては、「医師の裁量権」を根拠に、「ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針」(ヒト幹指針)の遵守や薬事法に基づく治験等の申請といった、安全性の確保等のための正規の手続きを経ず、幹細胞の輸注、投与、移植等の所謂、再生・細胞医療と称する行為が行われている実態がある。
◇横行するグレーゾーンの医療行為◇
ためしにインターネットの検索エンジンで「幹細胞」を検索すると、学術的な記事や新聞メディアの記事にまじって、美容クリニックなどによる豊胸術やアンチエイジング施術などの宣伝を見出すことができる。だが、日本国内でヒト幹指針にもとづいて行われている臨床研究はまだ二十数例にとどまっているし、臨床研究は科学的根拠や安全性の確保、患者保護の観点からある程度の設備や人員が必要であり、どこでもできるといった代物ではない。つまり、こうしたクリニックが行う「幹細胞治療」と称するものが正規の手続きを踏んでいるとは考えにくく、細胞の移植法や安全性などについて開示情報がきわめて不十分で、正当な医療行為といえるのかどうか、グレーといわざるをえない。ネイチャーの記事では、タイの研究グループが、腎臓病の幹細胞治療後に死亡した患者1人に「奇妙な病巣」をみつけた論文 (Nature 2010年6月24日号)を参照したり、生後18 か月のルーマニア人男児が、脳に幹細胞を注入された後に死亡したことなども紹介して、自国内で未認可・未承認の細胞移植などを受けることの危険性について警鐘を鳴らしている。こうした行為はすでに数年前から報道されており、2005年にはアメリカのニュースサイト・ワイアードビジョンはロシアにおける野放しの幹細胞治療を紹介しており、脂肪由来の体性幹細胞はおろか、ES細胞と称するものを注入されるような施術も行われているという(http://www.wired.com/medtech/health/news/2005/03/66904)。
◇「臍帯血から得た幹細胞バンクが勧める医療機関は詐欺まがい」◇
2010 年2月、米科学振興協会(American Association for the Advancement of Science、AAAS)の年次大会で、幹細胞研究の第一人者として知られる米カリフォルニア州スタンフォード大学アービン・ワイスマン教授が、「臍帯血から得た幹細胞バンクが勧める医療機関は詐欺まがい」という主旨の発言を行っている。ワイスマン教授は、前掲のようにタイやロシアなど規制が緩い国では効果が実証されていない、そして安全性への配慮の乏しい幹細胞移植が横行していることを踏まえ、適切なルールのもとでの再生医療研究の進展を訴えたものだ。たしかに、臍帯血から得られた幹細胞は白血病治療のための移植ソースとはなりうるが、臍帯血由来の造血幹細胞が脳や心臓、血液や骨格筋をつくれるわけではない。また、韓国のベンチャーが行っているように脂肪由来の幹細胞をそのまま点滴するという行為が、現在の糖尿病治療を上回る治療効果があるのか、その根拠となる科学的知見は多いとはいえない。もちろん、さまざまな団体は現状に手をこまねいているわけではない。幹細胞研究に係る国際組織である国際幹細胞学会(ISSCR)では、幹細胞を用いる臨床研究に携わる研究者向けに「幹細胞の臨床応用に関するガイドライン」を定め、幹細胞研究者が科学的根拠や安全性の乏しい「幹細胞治療」を安易に行わないようガイドラインを設定している。さらに、幹細胞治療に関心をもつ患者に対しては「幹細胞治療について患者ハンドブック」を作成し、自分が受けようとしている治療法が公的機関から承認されているものなのか、もしくは臨床研究や治験の承認等を受けているのか、そして科学的な根拠をもつのか、といったことを確認するよう推奨している。
◇高度で先進的な医療を受けるための機会が失われる◇
筆者は決して先進的な医療行為に否定的なのではなく、むしろ幹細胞を用いたさまざまな医療が一般の患者に大きな利益をもたらすことを期待しているし、現在の日本では再生医療研究へ厳しい規制が課せられていることには憂慮している。たとえば、日本のバイオベンチャー企業であるセルシード社は、「角膜再生上皮シート」を用いた治験を日本ではなくフランスで行ったという。また、再生医療関連製品として日本ではじめて保険適用をうけた「ジェイス」(重篤なやけどなどに対して移植される自己細胞由来の培養皮膚)は、実際の患者を治療する場合には保険適用分だけでは十分な量が移植できず、混合診療(保健診療と自由診療の併用)を禁ずる日本の制度下では、企業の厚意によって無料で製品が提供されているという現状もある。再生医療を取り巻く日本の環境の厳しさを物語っていよう。過剰な規制は医療の進歩にとって、そして疾患の治療を待ちわびる患者にとって、幸せなこととはいい難い。科学的なエビデンスがあったとしても、先端性がゆえに「医師の裁量権」の範疇で治療を行わざるをえない場合もままあり、その行為を完全に否定することはできない。だが、ヒト幹細胞を用いた医療は、社会から大きな期待を担う一方で、安全性など、これから解決されねばならない課題も残されている。これは基礎から臨床に携わる研究者コミュニティ、そして法律や倫理にかかわる専門家も交え、問題点を一つひとつ丹念に解決していく必要があり、「医師の裁量権」を根拠に臨床応用を行うのは、早計といわざるをえない。日本がもつ先進的な医療技術を評価された上での医療ツーリズムであれば歓迎すべきことであるが、前述のような日本の慣習を悪用し、脱法的行為のための温床として簒奪されてしまえば、結果として法制度を厳しくせざるをえなくなり、日本国民が高度で先進的な医療を受けるための機会を喪失してしまう。そのことは避けなければならない。
◇日本再生医療学会の声明◇
本日(2月1日)、日本の幹細胞研究者が多く所属する日本再生医療学会が、科学的根拠や安全性の配慮など、患者保護のルールにもとづかないまま幹細胞を患者に投与する行為に対して憂慮を表明する。また、厚生労働省などの行政当局もこうした行為には重大な関心をもっているといい、再生医療学会などと連携し、新たなルールづくりを進めていくと考えられる。もちろんそれは重要かつ意味のあることであるが、法的な規制をただ強化するというのではなく、研究者自身が既存の各種法令や通知、告示、ガイドライン等を遵守し、研究モラルにもとづいた自覚的な行動をしていくことを徹底させ、健全に再生医療研究が推進される環境整備を行うべきである。同時に研究者コミュニティはマスメディアやネット媒体などを通じ、国民へさまざまな判断材料の提示を行って理解の増進につとめ、国民のコンセンサスを得ながら日本の再生医療研究を発展させることを期さなければならない。日本はiPS細胞を世に送り出した国として、再生医療研究やその周辺の法運用について、世界からの注目が依然として高い。医師や研究者、行政当局、そしてマスメディアは連帯し、自国民を「幹細胞ビジネス」には乗せられないように守る責任を範として示さなければならない。日本が世界の中で果たすべき役割は、決して小さくないのである。
◇本日の一冊◇
「幹細胞治療について患者ハンドブック」
文中で紹介したハンドブックはネット上にファイルがおかれており、日本再生医療学会ホームページ(http://www.jsrm.jp/)からも読むことが可能なので、幹細胞を用いた臨床研究に興味のある方はご一読をお勧めする。(http://www.jsrm.jp/member/isscr.html)
八代嘉美(やしろ・よしみ)/記事一覧
1976 年生まれ。慶應義塾大学医学部特別研究助教。東京大学大学院医学系研究科博士課程修了、博士(医学)。専門は幹細胞生物学、科学技術社会論。再生医療研究 の経験とSFなどの文学研究を題材に、「文化としての生命科学」の確立をを試みている。著書に『iPS細胞 世紀の技術が医療を変える』、『再生医療のしくみ』(共著)等。
【livedoor ニュース】《2011.1.31》
幹細胞治療が国の規制を受けぬまま民間クリニックで広まっている2011.1.31 
がんや脊髄損傷、アルツハイマー病などに「効く」として、患者の脂肪や骨髄の細胞を注射する「幹細胞治療」が、国の規制を受けぬまま、民間クリニックで広まっている。将来の再生医療にと期待される幹細胞だが、効果が確認された病気はまだ限られ、安全性も研究段階にある。日本再生医療学会は近く、患者や家族に、安易に受けないよう、呼びかける声明を出す。
◇ 規制受けず 費用数百万円 ◇
使われているのは、患者の骨髄や脂肪から取った幹細胞。骨や血管、筋肉などになる能力があり、けがや病気で欠けた場所に入れれば、失われた働きを再生できると期待されている。iPS細胞やES細胞に比べ、様々な細胞になる能力は劣るが、患者から直接採取でき、拒絶反応の心配も少ない利点がある。そんな「手軽さ」もあって、がんや脊髄損傷、リウマチ、糖尿病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)といった難病や障害に「効果が期待できる」として、医師の裁量で患者に使う医療施設が出てきた。その一つが、茨城県内のJR駅から徒歩数分、大型ショッピングモールに併設された建物にあった。院長によると、これまでに糖尿病や脳梗塞、腎不全、ALSなどの患者約80人に行ったという。患者の腹や尻から脂肪組織を取り、幹細胞の抽出、培養は韓国のバイオ企業に外注。送り返された幹細胞を注射している。費用は数百万円。院長の専門は麻酔科で、細胞を扱った経験はない。「細胞がどのように培養されたか、企業側が教えてくれないのでわからない。ブラックボックスだ」と不安を感じながら患者に使ってきたという。効果や安全性が未確認であることに、院長は「批判は当然あるだろうが、研究結果を待てない患者もいる」と話す。東京都内のクリニックでは、患者の骨髄の細胞を使い、脊髄損傷や記憶障害などの患者3人に使ったという。昨年5月には京都市に、韓国のバイオ企業が韓国人富裕層向けのクリニックを開院。韓国では規制が厳しく、日本に作ったという。アトピー性皮膚炎やパーキンソン病、糖尿病などを「治す」という。このようなクリニックは、朝日新聞が確認しただけで全国に10施設以上あった。いずれも自由診療で、患者は数百万円の費用を支払っている。海外に渡る人たちもいる。脳性まひの娘(2)がいる大阪府の夫婦は昨年末、海外での幹細胞治療をあっせんするツアー会社を通じて、ドイツで治療を受けた。治療後、娘の笑顔や動きが増えたと感じる。夫婦は「新しい医療では患者が実験台になる部分がある。でも、少しでもよくなるなら」と期待する。このツアー会社は2010年4月から10人ほどの患者をドイツに送ったという。料金は1人あたり渡航費などを含め100万〜300万円という。【asahi.com】《2011.1.31》
名大病院は国の承認を受けずに幹細胞の臨床研究をしていたと発表2010.8.11 
名大病院は8月11日、同病院泌尿器科の研究グループが国の承認を受けずに臨床研究をしていたと発表した。いずれも脂肪に含まれる幹細胞(脂肪幹細胞)を使った治療で、2009年1月から11月にかけ、計10例あった。同病院は、臨床研究に関する指針を誤って解釈していたと釈明し、これらの事例を扱った論文1本と研究発件は取り下げた。同病院の発表によると、同グループは2009年1月から4月までに、71〜83歳の男性患者5人に対し前立腺がんの手術後の尿漏れを防ぐため患者自身の脂肪から取り出した幹細胞を注入する治療を施した。さらに、2009年7月から11月の間に、27〜60歳の男性患者5人に対し腎臓がんの手術の後遺症を抑えるため脂肪幹細胞を注入する手術を実施した。治療の安全性に問題はないという。厚労省の指針では、ヒトの幹細胞を使って臨床研究する際は大学の倫理委員会と国による審査を義務づけているが、いずれも倫理委の承認を受けただけで国には報告していなかった。調査を担当した水野正明准教授は、今回使った幹細胞は体外で培養していないので国の承認は必要ないと判断していたと述べた。問題となった治療例のうち2例が2010年3月、日本再生医療学会で発表され指針の違反が発覚。同病院は、過去に倫理委にかかった958件をあらためて調査していた。【YOMIURI ONLINE】《2010.8.11》
再生医療研究を想定した腎尿細管細胞の培地RELAR培養液を発売2010.7.22 
医療機器大手のニプロは遺伝子組み換え技術を応用した腎尿細管細胞の培地RELAR(リラー)培養液を発売した。動物由来の血清を使わないため、細胞増殖の性能が安定しているのが特徴。再生医療を研究する医療機関や製薬会社などが使うことを想定、2010年度に売上高1000万円を見込む。尿細管細胞は腎機能を担う細胞で、体に必要な成分を取り込む役割を果たす。研究機関で腎尿細管細胞を培養する際は動物やヒト由来の血清を使った培養液を用いることが多いが、個体差によって品質が不安定なことが多く正確なデータを効率的に取ることが難しかった。【日本経済新聞】《2010.7.22》
日本の治験開始ができていない現状は再生医療の未来をきわめて暗いものにしている2010.4.16 
(ごあいさつ)
日本再生医療学会理事長 岡野光夫
20世紀は生理活性のある有機化合物を治療薬として利用する、いわゆる薬剤治療の基礎と臨床の学問体系が確立され、製薬産業が大きく発展する世紀となった。ほぼ80兆円の製薬産業が人類の薬物治療を支え、この医療の効果と安全性は薬事法で規制されることとなった。さらに20世紀末のバイオテクノロジーの目ざましい発展は細胞工学と遺伝子工学によって創出され、ペプチドやタンパク質が大量に合成可能となり、治療薬として利用する15兆円の新産業, バイオ医薬時代を作り出し、今後のさらなる発展が期待されている。しかし、これらの低分子化合物やタンパク質の医薬品のほとんどは対症療法的な適用であり、根本治療を実現する治療薬の実現は21世紀の人類の重大な挑戦課題となっている。
再生治療の学問体系の確立とその医療応用を実現する取り組みが世界の最大の関心事となっている今日、日本再生医療学会にかけられる期待はきわめて大きい。とくに、細胞や培養組織・臓器で治療するこの新領域の確立は再生医療社会をどのように創出するかという挑戦に他ならない。日本再生医療学会は2001年にスタートされ2008年に日本組織工学会との合併により現在の総合的かつ集約的な再生医療の研究をカバーすることとなった。すなわち、幹細胞、培養組織・臓器で再生治療する新学問領域の創生に向けた体制ができ上った。医学、生物学、工学、薬学の統合的、集学的な取組みが系統的に進められている。この学会の体制を作り上げリーダーシップを発揮されて来た中内啓光前理事長に感謝申し上げたい。本年3月の総会で私が理事長に選出され、日本再生医療学会を運営するその使命の大きさと責任の重大さを実感している。
私が重点的に強化したい活動を以下のようにまとめてみたのでこの点を中心に会員の皆様と議論して行きながら学会の新しい活動を進めて行きたいと思っている。
1.再生治療のための細胞ソースの確立
ES細胞、iPS細胞および体性幹細胞のサイエンスの確立と治療を可能にする細胞を分化制御して増殖させて行く手法を追究する。とくに我が国にはiPS細胞の発明者の山中伸弥教授が研究拠点を形成しており、この拠点と連携しながら世界に先駆けた再生治療を実現する細胞ソースの確立を目指すユニークな活動が展開されることが期待できる。強力な基礎と応用の連携を構築して行く活動を進める。
2.ティッシュエンジニアリング治療のブレークスルーと幅広い臨床応用を促進する前臨床及び探索的臨床研究の強化
細胞を効果的に増殖させ、これを培養組織化してその機能を損なうことなく生体に効率よく移植する治療法の推進と適用拡大を医学、生物学、工学および薬学の連携を通して推進させる。皮膚、角膜、骨、軟骨などの一般的治療の普及を強力に進めると同時に網膜、歯根膜、血管、膀胱、尿道、食道、気管、心筋、肺、肝臓、膵臓、腎臓など組織・臓器の新しい再生治療を次々に実現させる研究を進めて行く。産官学の研究推進と有効な支援体制を同時に構築して行く。
3.臨床研究・治験の推進体制の整備
世界で300件以上の再生治療の治験が進行する中で日本では多少の臨床研究はあるものの治験に至ってはほとんど開始できていない現状は、わが国の再生医療の未来をきわめて暗いものにしている。これはアカデミア、行政、産業のそれぞれが20世紀の古い体制を変えることができていないことによると思われる。21世紀の新しい仕組みを必要とされる再生治療を既存の古い仕組みのままで推進させようとするため、その実行が極めて難しくなっている。このことを具体的に解決すべく本学会が中心となって優れた研究があるものの、再生治療として世界に大きく遅れている現状を解決する方向に力を注いで行く政策、体制整備、治験のための確認申請制度、総合的なレギュラトリーサイエンスに基づく規制の多面的な見直しを学会レベルで議論し、具体的な対策を提言、実行して行く。
4.再生治療社会の確立を目指して
再生治療を従来の学問上の延長線で見るのみならず横断的・集学的な視点から体系化し、新しい時代の医師・研究者教育を考え、基礎および臨床研究のみならず薬事法による規制の見直しを通して、再生医療を大きく発展させる。新しい人材の養成と社会体制の整備が急務である。従来の体制の踏襲に拘泥しない21世紀に活躍する新しいタイプの人材育成、教育・研究のあり方を考える。また産官学の新しい協働による緊張ある連携の強化を進める。患者のための啓蒙活動、補償及び社会保障の制度設計など社会的な基盤作りにも学会レベルで取り組み、早期の再生治療の実現とその普及のための戦略を策定して行く。
5.国際連携システムの促進
海外の学会等を中心に連携を作り、これを通して国際的な再生医療の連携システムへと発展させ、強化して行く。世界的視野に立った教育,研究開発を推進させる。再生医療の規制の国際ハーモナイゼーションの構築を積極的に進めるための方法論を議論、その実行を進める。
以上のような従来検討されてきた再生治療の実現策について、とくに1〜5の項目を中心に具体的にさらなる発展の活動を企画、実行しグローバル化させて行きたいと考えている。理事会・評議員会の議論に加えて、会員との積極的な議論を進め、再生医療の早期実現を目指す。【日本再生医療学会】
2010.4.16 《2010.4.16》
マウスのiPS細胞を受精卵に入れ子宮に戻し腎臓を作る技術を開発2010.3.19 
東大医科学研の中内啓光教授らの研究チームはマウスのiPS細胞を受精卵に入れて子宮に戻し腎臓を作る技術を開発。将来、ブタなどに人間の臓器を作らせ移植用に使うといった新たな治療法開発に道を開く成果という。広島市で開催中の日本再生医療学会で3月18日発表した。遺伝子操作で腎臓を作れなくしたマウスの受精卵が胚盤胞という成長段階に達した際にiPS細胞を注入し、その後、代理母マウスの子宮に入れた。生まれたマウスにはiPS細胞由来の正常な腎臓ができた。現在は人間と臓器の大きさがほぼ同じブタの受精卵を使い同様の実験をしている。 【NIKKEI NET】
2010.3.19 《2010.3.19》
ネコの体内で腎臓の組織を再生することに成功2009.11.22 
ネコの間葉系幹細胞をブタの腎臓の基となる細胞、腎臓原基に注入しネコの体内で腎臓の組織を再生することに自治医大や慈恵医大などの研究チームが成功。尿の生成も確認。ネコの代わりに人の細胞を使えば病気の腎臓に置き換える人工臓器作りに役立つ可能性がある。
間葉系幹細胞は骨髄などに含まれ血管や筋肉などになる。この細胞は人にも存在する。 実験では腎臓原基(約1ミリ)を妊娠中期のブタの胎児から取り出しそれにネコの間葉系幹細胞を注入片方の腎臓が摘出されたネコに移植。すると4週間後に腎臓原基が8〜10ミリに成長しネコの血管が通った。また血液をろ過する糸球体や尿細管も形成され尿がたまったことを確認。 ブタの臓器は人の大きさに近い。中国やメキシコなどではインスリンを分泌する膵島がブタから人に移植されている。
《2009.11.22》
iPS細胞を用いた内胚葉性器官の研究体制強化へ2009.10.22 
iPS細胞研究センター(CiRA=サイラ)ではヒトiPS細胞から内胚葉性器官への分化誘導技術および前臨床研究を推進するために体制の強化をはかる。膵臓および肝臓のような内胚葉性器官や中胚葉性器官の中でも腎臓は他の器官と比べiPS細胞からの分化誘導が難しいと言われている。しかし糖尿病や慢性腎不全、肝硬変等の難病に苦しう患者の数は多く有効な治療方法や薬剤の開発に対するニーズが高い分野でもある。このようなニーズに対応するためCiRAでは長船健二准教授を中心にiPS細胞を用いた内胚葉性器官の研究体制を強化。長船准教授はCiRAの医療応用技術開発部門に所属しヒトiPS細胞を用いて移植に提供できる薬としての腎臓細胞を試験管内で作製することや腎疾患に対する新しい治療薬の開発に関する研究を行ってきた。長船研究室ではこれまでの腎臓研究に加え研究対象を膵臓や肝臓などの内胚葉性器官にも広げ細胞移植治療応用を目指したヒトiPS細胞からの内胚葉性器官への分化誘導技術や有効な治療方法の確立を目指す。
《2009.10.22》
コストマン症候群、多嚢胞腎、脂肪萎縮症のの患者の細胞からiPS細胞作製2009.10.19 
京大は新たに遺伝子異常などが原因で起こる3疾患でiPS細胞を作製。 3疾患は白血球の一種である好中球が減るコストマン症候群、腎臓に水がたまった袋が多数できる多嚢胞腎、脂肪組織が減少し糖尿病などを招く脂肪萎縮症。発症原因の解明や治療法開発の糸口が得られると期待。
《2009.10.19》
iPS細胞を利用しマウスの体内で膵臓を作製することに成功2008.8.31 
iPS細胞を利用しマウスの体内で膵臓を作製することに東大医科学研の中内啓光教授らが成功。糖尿病患者のiPS細胞を動物の体内で膵臓を作らせることができれば移植医療に使える可能性もある。実験では膵臓の形成に必要な遺伝子を持たないマウスを使った。膵臓が欠損したこのマウスの受精卵を数日間培養。胚盤胞まで育った段階で正常な遺伝子を持つマウスから作ったiPS細胞を注入。その胚盤胞を代理母の子宮に移植し誕生したマウスを調べたところ膵臓が出来ていた。膵臓にはインスリンを分泌するベータ細胞も含まれ血糖値を正常に保つ機能があることを確認。注入したiPS細胞が欠損するはずだった膵臓を補完したとみられる。研究チームは別の万能細胞であるES細胞を使いマウスの膵臓や腎臓を作ることにも成功している。今後サルやブタで人間の臓器が作製できるか確かめる計画だ。動物の体内で移植用の臓器を作製する試みは難病患者に福音となる可能性がある一方未知の感染症に侵される恐れも指摘されている。
《2008.8.31》